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膝枕
「さて、これからどーする?」
認めたくはないが、何故か精神だけ五年前に戻ってる·····。
大学のオレは死んだのか?
寝て死ぬとか無いわぁ
青春と呼べる出来事も何も無かったんですが、、、
神様を信じたことは無いが·····流石に呪いたくなる。
漫画やアニメだと転生とかそーいう系が流行ってたケド、、、まあ···その場合は何か特別な力とか宿ってたりする訳で············此処は仮にも現実世界だ、それは無いな。
「 あ、」
そうだ っ!
本来、中二のオレは始業式に行ってる筈だった。
でも······熱で休んでるって事は既に何か変わってるんじゃないか?
「確かめねぇと·····」
リビングから再び自分の部屋に戻りクローゼットから適当に服を取る。
「······パーカーならフードもあるしバレないな」
白のパーカーと黒いジーンズを履いてマスクを装着し、鞄には小銭が入った財布を入れて準備は完了。
かーさんが帰ってくるのが夕方だから、それ迄に戻れれば良い。
「行くか、」
玄関ドアのドアノブを握りオレは五年前の周辺と学校を確認しに出掛ける。
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「 つかれたぁ··········」
あれから四時間位歩き回り、熱が上がってきたのか体調の限界で学校近くの公園のベンチに座っている。
「あ"~······無理するんじゃなかった」
四時間かけた成果は、この世界はオレの覚えている範囲でなら間違いなく大学生のオレが過ごした時間軸にいる、、かもしれない·····。
パラレルワールド?というのも考えたが、科学者でも無いオレはその辺はさっぱりだ。
中学の頃··········帰りに歩いた商店街や五年の間に潰れてしまったお気に入りのお店がまだやっていたのは懐かしくもあり驚いた。
「はぁ············四時間かけてこれかぁ·····」
溜め息しか出ない。
本当はもっと探索したいが··········だめだ····。
目の前がグラグラする、、、、歩くのもしんどい。
「ヤベぇ······」
かーさんが帰って来る前に家に···帰らないと····いけないのに·····
そう·····分かってはいたのに··········オレはベンチでいつ間にか気を失っていた。
「····································。」
なんだ?
なんか····冷たいのが額に当てられてて、、、
「 きもち 、 い ぃ ······」
重い瞼を開けると誰かの手がオレの額に触れていた。
「··················かーさん ?」
まだ熱がある様で視界がグニャグニャに歪む。
「かーさんかぁ、、残念ながらお前の母さんじゃないな」
「?!?!」
予想外の言葉に慌てて起き上がろうとしたが、無茶するなっ!、っと誰だか分からない男に止められる。
どうやら······知らない奴、、、しかも男に膝枕をされているようだ。
おい、神様。
オレはこんな青春を望んだことは無いが?
やるなら女子の柔らかそうな太腿を所望したいっ
ホント···ふざけてるとしか思えない。
オレが黙っていると「お前、小宮だろ?」と聞かれたが、体調が悪いのもあって「だから何?」と冷たい言い方をしてしまう。
親切に看病してくれたのは有難いが、ほっといてほしい············。
マジで会話するのもしんどいし、、
「はははっ、なんか機嫌悪いな」
膝枕をしているソイツは何故か笑いながら話してきた。
なんでこんな失礼な態度してる奴に対して笑えるのか意味が分からない。
それに·····なんでオレの苗字を知ってる??
「·····わるい、、あんま···話したくなくて······えっと、、、」
「あっ、そーいえば名前名乗ってなかったな。俺は加藤······同じ中学なんだケド、分かる?」
「 は ? 」
加藤??
加藤って言った?!
あの加藤?????
んな馬鹿な·························
コイツが卒アルで見た加藤の顔と同じかどうか確認しなければ·····オレは無理矢理上体を起こすと直ぐに自身を加藤という男の胸倉を掴み、目の前に引き寄せる。
「えっ?!ちょ、ちょっと、、」
突然の行動にソイツは驚いた表情を浮かべていた。
「···············································。 」
猫目のツリ目、、、目は松や杉のような常緑樹の常磐色で、髪は······太陽の光を集めたかのような綺麗な金色のツーブロック、耳に少しかかるくらいの長さ。
顔立ちはまだ幼さが残っているが色気が漂い、鼻筋が通っていてラインがしっかりしている··········。
「本物··········なのか ?」
え、、
はぁ??? 何この展開??
Why?
怖ッ······割と本気でマジで怖いんだけど、、、
なんで五年後に死んだと聞いた奴がオレに膝枕してんの????
いや、そもそもなんでクラスが違って関わったことも無いオレの事を知って⎯⎯⎯⎯··········
「小宮、そろそろ放して」
困った様な表情を浮かべながら加藤は言い、
オレはその言葉で我に返った。
「わ··········わるぃ·····」
謝りつつ胸倉から手を放す。
駄目だ、、、
キャパオーバーだ。
取り敢えず家に帰ろう···············
今の状態じゃまともな受け答えが出来ない。
「帰るわ」と、伝えて力が入りにくい足で立ち上がった。
「あっ、おい!小宮」
加藤が慌ててオレの肩を掴む。
「放せよ」
まだグラつく視界で加藤を睨み肩から手を退けて言葉を続ける。
「·····オレは大丈夫だからっ、ほかっといてくれ」
これが今のオレが言える精一杯の言葉だ。
本人が大丈夫って言うから、もうほかっといてくれるだろうと思った。
「駄目だ」
加藤が真剣な表情でオレの言葉を拒否。
「なっ、 、だからっ、大じょ────·····
話している途中で酷い目眩に襲われ、あ·····これ地面に倒れるやつだ、と倒れていく中でオレはまた意識を失ってしまう。
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