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 僕はおじいちゃんとの散歩が大好きだ。  おじいちゃんはたくさんのことを知ってる。道端に生えている花や草木、虫たちのこと。夜空に光る星のこと、月のこと。おじいちゃんの話はとても面白い。  夏には畑で採れた大きなキュウリやトマトを食べさせてくれる。それがとってもおいしい。おじいちゃんとおばあちゃんの作る野菜は世界一だ。  僕が大きくなったら、おじいちゃんみたいに野菜を作る人になりたいって言ったら、おじいちゃんは笑ってた。 「好きなことをとことんすればいい。野菜作りじゃなくてもね」  その時のおじいちゃんは笑ってたけど、少し寂しそうな顔をしていた。  おじいちゃんの美味しい野菜が、もっとおいしくなって、たくさんの人に食べてもらえるようにしたい。  6歳の僕は、そんなことを思った。
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