祖 父

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 私は興奮しました。高等科へ行けるのは、学年でも1人か2人です。  成績が優秀だけでなく、先生方にその人格が認められなければ通うことはできません。それに私が選ばれたのです。  そして何よりも、もっと幅広い知識に出会える喜びが、たまらなく嬉しかった。私はじっと両親の言葉に、更に耳を澄ませました。 「先生、ウチにそんな金があるとお思いですか?  だいたいがドン百姓の家です。農家に学問なんか必要ありません」  そんな父の声が聞こえました。
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