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そんな俺を見ても、親父は「勉強しろ!」とは一度も言わなかった。
ただ、「好きなことはとことんやりなさい」とだけ言ってくれた。一方で、母は随分とやかましかったが。
親父は20で家を出て、婿としてこの家に入った。学生の頃は成績優秀で、高等科への進学を打診された親父。農業の傍ら、いつも本を読んでいた。
息子には、きっと学問の道に進んで欲しかったに違いない。しかし、親父はそんな想いを尾首にも出さず、せっせと野良仕事に明け暮れていた。
反面、俺は学業はからっきしで、単なる野球バカ。親父には申し訳ないことをしたと思う。
正直、親父には感謝しかない。
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