4.専門性とフェチ

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 きっと同じような方もおいでのことと思いますが、私は男の人の筋っぽい手が好きです。いや、筋っぽくなくても丸っこい指の男の人が、ナイフなどを使って器用に果物の皮をむいているのとか、上手にプラモデルを組み立てているのを見てるのも好きです。  ようは、何らかの作業をスイスイとこなしている男の人の手もとを見てるのが好きなんですね、きっとね。  自作では、ピアノを弾く人や、カメラを扱う人、美容師さんなどの手もとについて楽しく書きました。  ピアノのオクターブ(ド音→上のド音)どころか、10度(ド→ミ)が届くほど大きな手を持つ黒田さん(春林奇譚)。  写真のフィルムを扱うとき指紋がつかないように白い手袋をはめた、写真部顧問の白川先生の手(単焦点シリーズ)。  しろほしのやわらかい髪の毛を、スイッ、スイッと指で梳きながらハサミを入れていく、美容師の折原さんの手(俺と、しろほしの30日間)。  手の描写、ということでいえば「乾いた手のひらが気持ちがいい」という描写も何度かしていて、これも私の好みなのだと後になって気づきました。「手に汗をにぎる」の反対で、乾いた手のひらは落ち着きとか包容力につながるイメージです。たとえば「単焦点シリーズ」で一彦がはじめて白川先生に抱かれる場面。ドキドキする一彦の腕を、白川先生が「君のペースでいいから」と言いながら乾いた手のひらでゆっくりさする……というようなシーンを書きました。  あとはもちろん、お色気シーンで受けちゃまズの後ろをやさしくほぐす、攻め様ズの長い指。たまらないですよね?(きゃっ)。  ◆  お色気シーンの話が出たので、もうひとつのフェティシズムである「匂い」についてもお話ししますと――。  私自身、ことさらにフレグランスが好きというわけではないですが、わりと鼻が利くほうで、人の肌の匂いとか香水・精油、シャンプーの匂いなど、好みがいろいろあります。自作でもいくつかの匂いについて書きました。最近では「ソロモンと猫」に、意識的に香りのエピソードを入れてます。  主人公の達也が片思いしている叔父の良介さん。良介さんがほのかに香水の匂いをさせているので、達也は自分でも同じ香水をこっそり買って持っています(そしてひとりえっちのときに嗅いだりしてる)。でも達也がほんとうに好きなのは、香水と良介さんの体臭がまじりあった唯一無二の匂い、というような描写をしました。  それから達也が居候のハクと抱き合うシーンでも、ハクがまとった香水の匂いが刻々と印象を変えていく様子を書きました。実際には、香りのニュアンスはそんなに短時間では変わらないからフィクションではあるけれど、ベッドシーンの盛り上がりを演出するのにデフォルメして書いてみた次第です。  ひとつ打ち明け話をするなら、良介さんの香水には実在のモデルがあって、トミー・ヒルフィガーの「Tommy」という男もののオー・ド・トワレです。無数にあるバリエーションのうち、私が好きな製品は公式サイトではギフトセットのみでの販売。もしかしたら近々廃盤になるのかもしれない。  最後に、本来の意味でのフェティシズム的な性癖を告白するとしたら(ドン引きしないでね)、人の匂いならば「かきたての汗」の匂いが好きです。さっきまで試合をしていたスポーツ選手がベンチに戻ったときとか、ステージから楽屋に帰る歌手やダンサー、音楽家みたいな人々がそばを通り抜けたとき、ふわぁっと動く空気の、ちょっと湿った汗くさい匂いが大好きなんだよなあ……(はずかしーっっ)  ◆  さてさて、今夜もお付き合いくださり、ありがとうございました♡  次回は「字と絵」と題して、私がときどきそっと練習&投稿しているお絵描きについてお話しするつもりです。早いもので最終回ですね。  また遊びにきてね……いつでも待ってるよ……(・∀・)ノシ
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