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残業が続いていた篠原花梨が、週末の今日は早く帰ることを先に知っていた私は、まえからの計略どおり、駿を誘った。
結婚を前提に同棲しているらしいという噂はあったけど、そんなことは関係なかった。社内での優良物件として上位ランクの萩原駿がどうしても欲しかったから。
___あまりにも簡単で拍子抜けしたけど
ベッドで駿とのセックスを味わいながら、窓に雨が当たっていることに気づいた。
___こんな寒い雨の夜に部屋を追い出されるなんてご愁傷様…
選ばれた女としての、優越感が快感度を上げたようで、とても満足のいく夜だった。
◇◇◇◇◇
土曜日。
肩先がひんやりとして目が覚めた。
___あ、そうだった
昨夜の一件を思い出す。そして胸元に残る赤い花びらのような駿の痕跡と隣で眠る駿を見て、ほくそ笑む。
___あの女に勝った
あの女…篠原花梨。私より5歳上で、営業課でも仕事ができて、そして何よりモデルのような体型で顔も綺麗系のお姉様タイプ。おまけに、次々と男性と付き合ってきたらしいがそのどの男性も、結局はあの花梨という女に振られたのに、花梨のことをそこまで悪く言う男はいないらしい。
___気に入らなかったんだよなぁ
私は背が低い。と言っても女の子としては普通なのかもしれない。でも子供の頃から憧れた職業に就くには、やはりもう少し身長が欲しかった。
希望の職種には就けなかったけど、女の子としてレベルアップしてきたおかげで、今まではいろんなことで得をしてきた。たいていのことは、華奢なフリで甘えればそばにいる男性がかばってくれることを、身を持って実感していた。そしてそれは私なりの武器だと思っていた。
なのに、あの日…。
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