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「こちらのテーブル席へどうぞ」
どうせ、他にひとはいないので、窓際で景色の良い二人掛けのテーブルにお通しする。
お客さんは自分と同じくらいの年の大学生、というか多分就活生だ。
黒いスーツに白いシャツ、ダークグレーのショートカット。足取りからヒールにも慣れていなさそうな感じが伝わってくる。
背丈は眞梨明ほどではないが女子にしては少し高めで、体格もスレンダーとは少し違って、多分骨格から肩幅とかがある子なんだろう。太っているとかでは決してなく、健康的でスタイルは良い方に見えた。
顔つきも幼さを残した感じで、明るい笑顔に慣れた表情筋が見て取れる。
だけど、今は浮かない顔をしているらしい。
「就活生~?」
「あ、そうなんです」
テーブルにコップを置きながら話しかけると、彼女はハハハ、と照れくさそうに笑う。
「大学、3年生?」
「あ、やや、4回生です」
「うっそ、大4? じゃあ、同いじゃん!」
「え? ホント」
この時期にリクスーを着て就活をしているのはひとつ下の後輩だと思い込んでいた。
選考開始が遅い業界もあるというし、決めつけは良くなかったかもしれない。
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