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「そうそう。あたしマリア。よろしくね」
「あ、真紀っていいます」
「いや、敬語いいって」
アハハそうだねと、真紀はまた苦笑い。
「いや、まあ、4回の今になってもまだ就活やってるもんで、お恥ずかしい」
ああ、落ち込んでいる理由はやっぱりこれか。
4“回”生というのは関西特有の言い方だから、多分この子は遠路はるばる面接を受けた帰りとかなのだろう。
この時期にわざわざ来るなんて、余程行きたかった企業で、その結果が芳しくなかったのか。
「いやあ、まだ内定持ってないもんで……」
思ったより深刻かもしれない。
4回生無い内定ガール。
「ああ、えっと、とりあえず注文は?」
「あ、そうだね!」
気を取り直して。
慌ててメニュー表を上下に読み進める真紀。2,3往復したところでおずおずと言った調子で顔を上げた。
「マリアちゃん、ランチメニューって、まだある?」
まー、もうどっちかというと夕方だけど。
「お腹空いてる?」
「うん」
恥ずかしそうに俯いてエへへと苦笑いを見せてくれる真紀。
「うーん、ナポリタンとか……?」
お昼も出してたし、そんなに具材も多くないし、多分出せるだろう。
「じゃあ、それで! あと、アイスコーヒーも」
即決だった。
目を輝かせて何度もうなづいてくれる。
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