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「結構、理念とか思いとか大事にしてるからね。上手くしゃべれなくても大丈夫かもよ」
一次面接では人柄なんかが主にみられる質問だった。雑談みたいな緩い雰囲気で、新卒の就活では珍しい感じだ。
でも、真紀が受けて来たらしい二次面接では役職者との面接で能力とか会社への志望度とかが見られていて、所謂ガクチカの掘り下げだとか、会社の事業やミッションへの共感みたいな話をした記憶がある。
どちらかというと後者に比重をおいているのは、内定後に担当者からタネ明かしをされたので知っていた。
「『みんなが好きになるような広告で結果を出す。結果を出せば次も人もついてくる。そしたら、世の中に楽しい広告が溢れていく。それは、すごい社会貢献になる』良い考えだよね」
「なにそれ?」
だから、眞梨明は自分が話したインタビュー記事の内容を口にしたのだが、真紀のきょとんとした顔は予想外だった。
「え? 創業者の伊藤さんの言葉じゃん。インタビューとか見てないの?」
セーフティ.webは伊藤舞という女性社長が大学生の時に立ち上げた会社だ。
『「好き」がある社会』
というミッションを掲げたマーケティングコンサルティング会社で、丁寧な市場調査でターゲットを見つけて、ユーモアと温かみのある販促活動で心を掴むスタイルで業績を上げている。
そんな姿勢に惹かれて、眞梨明は入社を決めていた。
「伊藤さん、結構メディアも出てるしインタビューとか探せばいっぱいあるのよ」
伊藤舞が企業理念について話しているインタビュー記事は多いし、会社HPにあるクライアントへのインタビューでもそういう文脈で語られていたはずだ。
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