失恋タル 第4話

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モニカの希望で、老舗ホテルの最上階にあるラウンジへ行った。 窓に向かったカウンター席の端っこに陣取る。 夜景が美しい。 ノンアルコールカクテルでチーズをつまみながら、モニカの話を聞く。  ☆ ☆ いつもここで、ジャッドの父親テオとデートした。彼は今の私を生み出してくれた科学者。私は完全なAIだけど、生きていた時の記憶をインプットされている。 テオはユダヤ系のフランス人。 彼が27歳の時、29歳の私に出会い、2人は恋に落ちた。 私のお腹にジャッドが宿って間もなく、私に重大な病気が見つかった。 テオは、私の記憶や私の思考パターンを組み込んだ腕時計型のAIを作った。 ジャッドが普段から身につけていても不自然ではない形態を考慮したのだ。 それがモニカ。 現在の私だ。 ジャッドが生まれた時、私はすでに完成していた。 人間の私は、ジャッドを産んで間もなく亡くなった。 テオは一人でジャッドを育てた。 けれどもテオは、1年前、やむを得ない事情で宇宙ステーションへ向かうため家を離れている。 ジャッドは1人で頑張っている。 私の両親は元気なので、何かあればジャッドを手伝ってくれるだろう。 ただ両親は長野県の山奥で山小屋を運営している。 この街へ出てくる事は簡単ではない。 ジャッドには夢がある。 彼は科学者になりたい。 彼の夢を叶えさせたい。 それには、彼が志望の大学に入学するまで、この街の学校と進学塾に通うのが最良の選択だ。 ここまで理解できるか? 質問はあるか? 質問は息の声で囁けばよい。 周囲に聞かれるほど大きな声を出す必要はない。
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