わたしの小さな灯

13/13
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 清々しい午後、小屋の前のベンチで座って、おばあさんの話すのを聞いていた。  林の中から小鳥の声が降るように聞こえる。澄んだ空気が吹き渡る。  あの場所にいたわたしが遠くなり、寄り添うおばあさんの腕が、わたしの形を教えてくれる。仕事へ行ったおじいさんも、たまに訪れるあの人も。  わたしはうとうとしはじめ、おばあさんがそっと肩を抱き寄せて、膝枕をしてくれた。  温かい膝に頬をつけて、わたしはいっそう眠りに揺られる。 「幸せかい?」  おばあさんが訊ねた。  幸せって、なんだろう?  幸せという言葉を覚えたばかりだ。  もしこのまるくて優しい気持ちがそうならば、わたしは幸せなのかもしれない。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!