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結里子 25
そしていよいよケイと住む
新しい土地に向かう日がやってきた。
見送りには、奏くんと歌織ちゃんと音ちゃん。
大地さんとアキコさんと陸くんも来てくれた。
「わざわざすみません」
私が言うと
「陸が、どうしても渡したいからって」
大地さんが言いながら、画用紙を渡してくれた。陸くんの描いた、ケイと私だと言う。
二人の上には大きな太陽と雲。
あの日行った、公園のピクニックね。
足元には緑の芝生とチューリップ。
ケイは太陽に届きそうに、背高のっぽで描かれている。私は、白衣姿。
病院で会うことが多かったからね。
二人の間には、チョビがちょこんと座る。
「陸くん、ありがと」
「また、チョビと遊びに来てね。赤ちゃん
生まれたら来てね」
アキコさんと手を繋いだまま
陸くんは、そう言ってくれた。
助手席には
みんなの差し入れが積まれている。
今まで色々あったけれど、こうして出会えた、たくさんの 優しい人たちに支えられて
私はいる。
新しい物語を綴ろう。
歩き出す道は、時には曲がったり、迷ったり
つまずいたりするかもしれないけど
ケイと進むことを、私は選んだ。
「じゃ、出発するよ」
ケイが言う。
「よろしくお願いします」
走り出した車の道の先は、太陽の光で、まばゆく光る。私たちの未来も、照らしてくれている様に。
この先に見えるものは、どんな景色だろう。
例えば暗く重たい雲がかかったり、冷たい雨が降ったとしても、必ず晴れて虹がかかるように
時を待つ事が出来る。2人一緒だから。
ケイとなら、どんな景色も幸せに
変えていける。そんな予感を胸に
チョビの眠るケージのハンドルを握り直した。
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