佳太 23

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佳太 23

アキ姉達にも、新しい命が授かった。 みんな大喜びだ。 しかも、奏たちの子供と同級生になるらしい。 すでに、ママ友が出来たと、歌織ちゃんもアキ姉も喜んでいると言う。 青空が気持ちいいその日。 リコがやって来た。 リコが僕の部屋に居る。 それだけで心がこんなにもあたたかい。 ベランダから外を眺めて、日差しを浴びる光る彼女の輪郭。眩しい彼女の背中を、後ろから抱きしめた。 少し肩が上がったけど、すぐに笑顔で振り向く。彼女の頬に僕は顔を付けて、名前を呼ぶ。 「なーに?」 「会いたかったよ」 「もちろん、私だって」 「バカみたいに嬉しい」 「うふふ。私も夢みたいに浮き足立ってるよ」 「じゃあ,本当に浮き足立っちゃえ」 お姫様抱っこでベランダから、部屋に連れて行く。ソファにそっと下ろして 「お姫様、お茶でもいかがでしょう?」 「では、いただこうかしら?」 笑い合うこの時間は、本当に幸せだ。 お茶の後、物件を見に行くことにした。 プリントアウトしたいくつかの書類を リコに渡す。 「ケイ、これ、全部見に行ったの?」 「うん、職場の人が紹介してくれた物件もあるけど、あとはネットとか仕事合間に見かけた不動産屋とか」 「忙しいのに、本当にありがとう」 「いやいや、リコがこちらに来るっていうだけで、俺、何でもしちゃう勢いだから」 「あははは。すごい!嬉しいな」 二人で部屋を出て、少しまぶしい街を 手を繋いで歩いた。
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