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結里子 23
新幹線の駅に、ケイが迎えに来てくれた。
お土産を渡して、笑顔で向かい合う。
とりあえず、ケイの住むマンションへ
行くことにした。
サッと左手を私に向かって差し出した、ケイ。
繋いだ手は大きくて、こんなに大きかったっけ?って思った。
そうしたらケイが
「リコの手、こんなに小さかったっけ?」
同じ事思っていたんだね。それだけ、会えない時間があったって事だよね。だから本当に嬉しい。
ケイのマンションは、駅近のタワーマンション。ベランダからの眺めは、高所恐怖症じゃ、立てない位結構な高さ。
それでもお天気が良くて気持ちいいから
外に出てみた。
後ろからそっと、抱きしめてくれた腕に、またケイに会えた喜び。お姫様抱っこも軽々と
部屋に戻って、私の好きなジャンナッツの紅茶をいれてくれた。
一人暮らしの部屋には、たくさんの食器もない。でも、私用にタンブラーを一つ、買って置いてくれていた。
真っ白なタンブラーには
一筆書きのような絵が描いてある。
「このタンブラー。たまたま見つけたんだけど、リコが来た時にと思って買っておいたんだ。この絵、多分“ゆり”だよね?」
「そうだと思う。シンプルだけど素敵ね。ありがとう」
わざわざ“ゆり”の絵のタンブラーを、探してくれたのかな?見つけた時のケイの顔。
嬉しそうだったんだろうな。
その後、私達は部屋を出た。
いくつか物件を見て、最後にケイが一押しの部屋に案内された。
あの部屋数が、一人暮らしにはやけに多いお部屋だった。
エントランスから、すでにおしゃれで素敵だし部屋の玄関を入ると、収納も沢山ある。間取りもいい感じ。
「リコ、ここどう?俺の一押し」
「確かに今までのお部屋と比べても全て
満足って感じだけど2LDKは広すぎない?」
「うん。そうなんだけど。
二人なら良くない?」
「え?」
「リコ。えっとー。あのさ……
一緒に住まない?
俺もこの部屋、ひと目で気に入ってリコと住みたい!って思ったんだ」
「一緒に?」
「近くなのに、離れて住まなくてもいいんじゃないかと思ったんだ」
「良いの?しばらくは忙しくて、きっと一緒にいても私はケイに何も出来ないかもしれない」
「だから尚更だよ。二人で補い合えば良いよ。
一人で何もかもしなくていいんだ。リコが出来ないことは、手伝うよ」
「ケイの負担にならないかな?」
「そんなこと思わないよ」
「それとさ。リコの仕事が落ち着いたら……
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