結里子 24

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引っ越しの準備中に、アキコさんも 産休に入る為最後のネイルをしてくださった。 「結里子ちゃんにも、これで最後だね」 「今まで本当にありがとうございました。本当はアキコさんのお産のケアも、させていただきたかったのですが」 「ありがとう。でも,大丈夫。うちには優秀な陸と言う看護師がいますから」 「え?陸くん?」 「そうなの。 毎日私の体調を心配してくれて、負担がかかりそうな事を見つけては、大地さんに忠告してくれるの。小さな優しい紳士よ」 「へぇー。そうなんですね」 「生まれてくる妹か弟を、一番楽しみにしてくれてるのも陸かも」 「それは良かったです」 大地さんとアキコさんも又 幸せの形を築く事ができている。 今は使わないけれど処分はしたくない荷物を 実家に運んだ日。久しぶりに泊まった夜。  夜更けまで、母と話をした。 これからの仕事には、流石の先輩ナース。 良きアドバイスを たくさんもらう事が出来た。 ケイの事も全て話した。 出会い、人柄、私の想い。一緒に暮らす事。  「結里子の選んだ人だから、きっと間違いなく 素敵な人なんでしょう」 「うん。ありがと」 「落ち着いたら、うちに連れておいで」 「うん。ケイも“ご挨拶したい”って」 「お父さんは、機嫌悪くなると思うけど」 「あははは。そうかな?」 「そういうものよ。父親って。でもね。 父さんも紘太さんのことがあってから “結里子は大丈夫か?”っていつも言ってるのよ。心配してたのよ。一人暮らしさせといて大丈夫か?とか。連絡してるか?とか。 結里子が幸せになれるなら、父さんも嬉しいんだから」 父はいつでも素っ気ないけど 心配してくれていたんだな。 お父さん,ありがとう。
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