37人が本棚に入れています
本棚に追加
引っ越しの準備中に、アキコさんも
産休に入る為最後のネイルをしてくださった。
「結里子ちゃんにも、これで最後だね」
「今まで本当にありがとうございました。本当はアキコさんのお産のケアも、させていただきたかったのですが」
「ありがとう。でも,大丈夫。うちには優秀な陸と言う看護師がいますから」
「え?陸くん?」
「そうなの。
毎日私の体調を心配してくれて、負担がかかりそうな事を見つけては、大地さんに忠告してくれるの。小さな優しい紳士よ」
「へぇー。そうなんですね」
「生まれてくる妹か弟を、一番楽しみにしてくれてるのも陸かも」
「それは良かったです」
大地さんとアキコさんも又
幸せの形を築く事ができている。
今は使わないけれど処分はしたくない荷物を
実家に運んだ日。久しぶりに泊まった夜。
夜更けまで、母と話をした。
これからの仕事には、流石の先輩ナース。
良きアドバイスを
たくさんもらう事が出来た。
ケイの事も全て話した。
出会い、人柄、私の想い。一緒に暮らす事。
「結里子の選んだ人だから、きっと間違いなく
素敵な人なんでしょう」
「うん。ありがと」
「落ち着いたら、うちに連れておいで」
「うん。ケイも“ご挨拶したい”って」
「お父さんは、機嫌悪くなると思うけど」
「あははは。そうかな?」
「そういうものよ。父親って。でもね。
父さんも紘太さんのことがあってから
“結里子は大丈夫か?”っていつも言ってるのよ。心配してたのよ。一人暮らしさせといて大丈夫か?とか。連絡してるか?とか。
結里子が幸せになれるなら、父さんも嬉しいんだから」
父はいつでも素っ気ないけど
心配してくれていたんだな。
お父さん,ありがとう。
最初のコメントを投稿しよう!