犯人

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犯人

「 せ、 せ ん ぱ い ·········· 」 居るはずの無い人が俺を抱き締めていた。 今は違う大学で授業を受けている筈で···此処には居ない人なのに···············。 「大丈夫か?」と、優しく声を掛けてくれる。 「 は···はい··········先輩 、っ ··· 」 「怜は偉いな、友達の為に頑張ったんだから」 そう言って頭を撫でられた。 「 ッ 、 、、 」 それだけで·····今の俺は涙腺が壊れたのか涙が止まらずに大量に溢れる。 「·····せ·····せんぱい····· 、 せ ん··ぱ い··ッ、、·····せん ぱい···っ··小崎···せんぱいぃっ、こわかった·····こわかっ···です···せんぱ····· ッ 」 『先輩』と呼んでいる事にも気づかない程此処が怖かった········もぅ、駄目だと思った。 誰も味方になってくれなくて、知らない人達に好き勝手言われて犯人呼ばわりされるし、友達には胸ぐら掴まれるしで精神的にかなり辛い事ばかり起こって凄く苦しかった。 そんな腕の中で泣く俺に「あとは任せろ」と先輩は強気で言う。 周りは突然の‪α‬·····しかも顔が整い過ぎた高身長の登場に「退学しろ」というコールも、俺に対する悪口や罵倒·····全てが消え失せ静かだった。 「頭の出来が悪いβ共がよくも俺の番をくれたな」と、俺に対する扱いとは違い威圧的に話す。 勿論、そこに居た全ての人に聞こえるように大声で·····。 「あのΩ番いたんだ」 「じゃあ、何で誘発剤なんか?」 「犯人アイツじゃねえの?」 先輩の言葉で野次馬達はコソコソと何か話し合っている。 「はぁ、、、少しはまともなβはいないのか·····。犯人が知りたいのなら後でそこで気絶してる‪α‬にでも聞けよ。俺の番もアイツに襲われた被害者だ」と、呆れながら先輩は話す。 「そっ·····そんなの信じられるかっ!無実を証明するもんないだろ!!」 一人のβが言うと周りもそれに同調する。 「っ、」 確かに、、、、 今の自分は無実を証明するものは無く、鳥部が目を覚ましてくれれば証明されるが多分それは無い·····。 噛まれて急いで倉庫へ閉じこもった俺には自身の無実を何も証明出来ないのだ。 (先輩は·····どーするつもりなんだろ) 「ハッ、証拠が欲しいのか?なら、とっておきのがあるぞ」と、先輩は鼻で笑いつつ、薄い上着のポケットから袋に入った‪α‬誘発剤を見せる。 「ゴミ箱に捨てるなんて·····かなり間抜けな奴の指紋がとれるだろーな」と言うが、俺も周りも誘発剤入りの袋を見せられてかなり驚いた。 だって·····広い大学内にはゴミ箱はそこら中に設置されている。 どうやって誘発剤一つをこんな短時間で見付けたんだろうか、、、 「さて、簡単な推測だがその間抜けな犯人はβだ。そしてあの‪α‬に恨みがある。即効性を使えばいいのにわざわざ遅効性にしたのはラットになったアイツの近くにいると自分が犯人だと教える様なもんだ·····なんせ誘発剤を持った状態の訳だから。 そして誘発剤が効いたラット状態のアイツに襲われる役になったのはあのΩで、犯人は全ての罪をあのΩになすり付ける計画だった。 ··········本当にお粗末な計画で呆れるよ」 そう言いながら先輩は俺を抱くのを辞めて野次馬の中を歩いて行く。 そして、、、、 「 なあ、そーだろ?間抜けなβ 」と、一人の男の前で立ち止まった。 「 !、あの人は·····」 先輩が『犯人』というその人物は、最初俺がトイレから出てきたのを見たと言った男·····。 「は·····はあ???何言ってんだ?何で俺なんだよ」 「へぇー···認めないか。なら·····大学の至る所に設置されている防犯カメラでも見ながら話そうか?きっとお前の間抜けな姿が映されているだろう。それとも指紋鑑定でもするか? ··········ああ、安心しろ。費用なら俺が出す。なんせ俺の番が犯人にされそうになったんだ·····犯人を見付け出すまで俺は執拗い」と、落ち着いて話す先輩の声は冷淡で、目は·····獲物を逃す気がないような·····幽憤とした気持ちが込められていた。 自分が言われている訳では無いのに俺まで怖気付いてしまう。 そこには俺の知らない先輩がいたから、、、 犯人らしきβは「〜〜〜〜クソッ」と、言うとその場から逃げる様に走って逃げた。 「·························幼稚で陰湿···」 ボソッと独り言を言った先輩は職員の所に向かい「これ何処でも構わないので指紋鑑定依頼してください。奴の処分頼みます」と渡す。 (先輩は本当に·····スゴい、、) 家を継がなくても探偵やれば生計を立てられると思った。 「怜、おいで」 先程の先輩は嘘のように優しい笑顔で呼ばれる。 「は、はいっ」 俺は返事をすると慌てて先輩の横に立ったが、先輩は俺を抱き寄せて「行こう」と話す。 今はもう·····何時になったか分からないが酷く疲れた。正直、直ぐにでも家に帰りたい。 「········································。」 先輩は立ち去ろうとした歩みを突然止めると、 「お前らも最低だからな」と、冷ややかな目で周りを見た後その場を後にする。 ◇┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◇ 「せ、先輩っ」 「なに?」 「俺授業に戻りたいです」 「却下」 あの場から去った俺と先輩は先程俺が逃げた倉庫にいる。 何故か倉庫に入った途端、先輩はドアの鍵をかけて床に俺を押し倒してきた。 「せ、先輩は必須科目大丈夫なんですか?」 俺はラストの授業以外は必須では無いが、先輩はどーなんだろ? 「大丈夫だ。それに·····俺にとって一番重要なのはこっちだ」と、俺が背負っているリュックをはずすと着ていた服を脱がしてきて、俺は今下着と首輪しかしていない状態だ。 「あの‪α‬··········俺の大事なものに痕なんか付けて···」 怒りを孕んだ声とは反対に人差し指で噛まれた首と肩を優しくなぞる、、、、 「んっ、」 (くすぐったい、) 指先でなぞった後、先輩は俺にキスをするが手が俺の平らな胸を揉み、尖った先端を引っ張られたり爪で左右に擦られて·····身体がビクッ、ビクンッ、、、と勝手に反応してしまう。 「 ふっ ♡ ぁ、 、せ·····せん ぱっァ ♡ 、、っ 」 「怜は可愛いな·····直ぐに上書きしてたっぷり甘やかすから」と、先輩は舌を俺の口の中に入れる。
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