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朧気
俺の中で脈打つそれは先輩の言う通り進むのが止まり、俺も少しずつ落ち着きを取り戻す。
その間も先輩は何度も何度もキスをしてきて、気付けば両手は恋人繋ぎをしていた。
(痛く···なかった·····。寧ろ、気持ち良すぎて···怖かった)
もう、自分は処女では無い。
でも·····こんな快楽は知らない。
(先輩がαだから?それとも俺が一応Ωだから?)
「落ち着いた?」
先輩が俺の顔色を伺う様に尋ねる。
「あ、すみません·····俺、初めてじゃないのに···こんな、、」
「謝らなくていい。それより痛くなかったか?」
「はい、大丈夫です」
こんな時でも先輩は優しい。
「良かった·········ゴメン、怜。そろそろ動いてもいいか?」と、尋ねてくるが息が荒い。
先輩のモノは俺の中で小さくなる事はなく、今も脈を打ち·····時々ピクっ、ピクっ、、と動いているのが分かる。
(かなり我慢·····させてる)
でも、俺はあの快楽が怖い··········。
おかしくなりそうな甘くて抜け出せない快楽が、、、
「·····う、動いていいです。でも、」
「なに?」
「き···キス·······沢山して欲しい···です。そのっ、、気持ち良すぎて···怖くて、」
「分かった。怜はほんと可愛いな」
先輩の唇が俺の唇に触れるのと同時に、動いていなかった先輩のモノがまた奥へ、奥へと動き始めた。
「〜〜っぁ" ♡ふあ あ"っ、、 ん"ん" ッ、 ···ぁ っ けーさぁん ん" 」
足が自身の意思とは関係無くビクンッ、ビクンッと痙攣し、恋人繋ぎしている指にも力が入る。
「ッ、怜っ 、れい っ 、はぁ 」
先輩は息遣いも荒れ俺の名前を何度も呼び、
俺も嬌声を上げながら先輩の名前を呼んだ。
「あと·····少しで 全部、、挿入るから···な、」
艶っぽい目が歪み、今こうしている間にも先輩のモノはゆっくりと中に挿いる。
「っ ····· は、はぃ んっ 」
この快楽はまだ少し怖いが、先輩が俺の名前を呼んでキスをしてくれる度に、胸が締め付けられて·····愛しさが込み上げてくる──────·····
自分は仮の番として契約している。
だから·····この行為に先輩から俺への恋愛感情は無く、先日の契約書に書かれていた事がされているだけだ。
それだけだ、、、
(勘違いしたら駄目だぞ)
高校の頃から好きだったのは自分だけなんだから。
先輩のモノが全て挿入ったのか、尻に先輩の肌がくっ付いた。
「 はぁ 、はっ ·····けーさんっ ん"、、は··挿入いり·····ぁっ まし·····た ? ァッ、 ん"ん 」
「 ああ、 痛いか? 」
俺は先輩の言葉に「きもち·····ぃ···です」と首を左右に振る。
「ふっ、良かった。動くから首に手回しても、引っ掻いても良いからな」
「 ·····はぃっ、」
先輩は俺の返事を聞いた後、恋人繋ぎを辞めるとゆっくり中に挿入いっていたモノを抜いていき·····抜けるスレスレでまた中へ挿れる。
そして·····ゆっくりだった動きが速くなり、肌と肌があたる音と俺の嬌声が倉庫内で響く。
「ふぁっ ♡ けーっ さん、、けーさんん"ん"っ は、はげ·····し ぃ ぁっ ♡」
俺は必死に先輩の首に両腕を回す。
「っ、、怜、、、可愛い·····っ もっと もっと感じる怜を見せて 、 」
勢いよく挿入れられて俺は声にならない嬌声を上げて達する。
(ぁ、、甘い匂い·····がする、)
先輩からまたあの甘い匂いがして、少し肌寒かったのが今は凄く暑くて·····足に力が入らなず、俺は先輩に必死に縋り付いた。
正常位だったものが後背位にされ、先輩のモノが先程よりずっと深く挿入いる。
「〜〜〜〜〜〜〜〜ん"ん"ぁ"あふああっ♡」
口からは大量の涎が床に垂れ、目からは涙が止まらず自分のモノからは何度も達した。しかし、先輩はそれでも激しく突き続け俺の首輪に噛み付く。
ガチャッ、ガチャ·····と強く噛む度に首輪からは音が鳴り、俺が達しても行為は続けられ身体は激しく痙攣を続ける。
「ひゃめぇ やめてえ"え"ぇええ”っ いってう···ぃってま·····からぁああ"♡ ア"っァァ ぁ"ぁあ ッ ♡ 」
壊れるんじゃないかと思う位·····快楽を与えられ続けられた俺は逃げようとしたが、先輩が抜こうとする腰を掴み···より一層奥を突く。
「んぁあぁァ"あ"ぁァ"♡」
俺は一際大きな嬌声を上げて、ビックン ッ、 ビックン···ビク、ビクッ········と激しい痙攣をし、
一気に力が抜ける。しかし、ピクっピクッ·····と身体は震えたままで俺のモノからは達したのに愛液が出ず、俺はこの時初めて射精無しで達した。
(··············まるで獣の交尾みたいだ )
それからも行為が続き、使用済みのゴムが床に幾つも散らばっていく。
俺は意識が朦朧として···声は掠れ、乱れた息遣いしか出来ない中、、、、
「怜···愛してる···。お前は俺の事好きか?」と、先輩に聞かれた気がして、
「ぁっ ♡ す···すき··です···ッ·· ん "、、ずっと·····ずっと·······すきぃ···ぁあっ♡ んぁ"あ、 」感じながら先輩に答える。
先輩は俺の唇を奪い、貪るような深いキスをして、
「お前は俺だけのものだ··········ッ··誰にも触らせるな·····。忘れるな···お前の運命は俺だ ッ、 」と、荒い息を吐き、掠れたバリトンボイスが耳元で言うとピストンが速くなり先輩のモノが奥で弾けたが、先輩は達するのと同時に俺の右手の甲を強く噛む。
◇┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◇
少し寝たのか先輩が起こしてくれた時、あんなに綺麗な青空だったのが夕暮れになっていた。
「怜、すまない。身体は平気か?」
バツ悪そうに先輩が謝ってくる。
正直に言ってしまえば、かなり腰が痛いし·····足もまだ少し力が入りずらい、、、、
「けーさん、やり過ぎです。俺これから授業なんですけど」と、拗ねて自分の身体を見た。
セックスで汗と愛液でベトベトだった筈なのに·····今は綺麗に拭かれた状態で服も着ている。
俺が気絶している間に先輩がやってくれたんだな。
気絶といえば·····後半の記憶が朧気で、、、ただ右手の甲はまた強く噛まれた様で赤紫色の歯型が強く付いていて痛い···············。
(すっごい痛いし·····コレに何の意味があるんだ?)
申し訳なさそうな先輩に「何で右手噛むんですか?」と尋ねる。
先輩は「·····他のαに怜を取られたくないから牽制」と複雑そうな表情を浮かべていた。
「·························。」
意味がわからない。
誰がこんな出来損ないΩを必要とするのか、、、
必要としてくれるのは先輩位なのに···。
(牽制って·····)
「大丈夫です、けーさん位です。こんな俺を必要としてくれるのは」
何故だかしょんぼりしている先輩が堪らなく可愛く見えて、俺は右手で先輩の頬に触れる。
「俺は、けーさんが必要としてくれるならずっと傍にいます」
(例え、先輩と後輩に戻ったとしても)
「ずっと·····傍にいてくれるのか?本当に?」
俺の手に頬を擦り寄せて先輩は聞いてくる。さっきまでの行為中の態度とはかなり違う。
「そーですよ、可愛い後輩として先輩の傍にいます」
「⎯⎯⎯⎯⎯⎯·····違うな 」
先輩は俺の首輪を引っ張って自身の顔に近づけると「俺の番として傍に、だろ」と、拗ねた表情で言ってくる。
ああ、これは今の状態も含めるのか·····と思い、
「はい、俺は貴方の番ですから」と、先輩の目を見て答えた。
すると·····先輩の顔が目と鼻の先まで迫ってきて、俺は軽いキスをされるが、離れる時「嬉しい」と、先輩の顔は破顔した笑顔を浮かべていた。
「怜」
「はい」
「セックスの最後覚えてるか?」
先輩は何かを期待する様に俺の目を見てくるが、そんな何かを期待されても俺は覚えていない、、、
(先輩が言った事·········なんだ??)
「すみません。後半は記憶が朧気で·····何て言ったんですか?」
このデジャブ感は嫌だな····················。
案の定、先輩は呆れた様な残念そうな表情で「秘密」と言ってきた。
「え"ー·····、セックスしてない時に言ってくださいよ」と俺は不満を先輩に言うと、
「そうだな、近い内にまた言うから逃げるなよ」と先輩は真面目な顔をして言う。
「に、逃げませんよ」
なんで、逃げないといけないのか意味が分からない。
その後、右手の歯型はどうしようもないので、首輪だけ外してラストの授業がある教室に向かう。
先輩は帰るのか聞いた所、車で待ってるとの事だ。
あの件は時間も経ってる事もあり、かなり広まってるだろう。··········無かった事にはならない。
(俺がΩだと広まるのも·····いや、もう広まってるか、、、)
鳥部や久坂の事は心配だが、慎二は正直···今は話したくない··········。
教室に入ると数名の人が俺を奇異の目で見てくる。
しかし、俺は気にせずに窓際の席に着いた。
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