サービスエリア

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「ン"〜〜〜〜〜〜!お腹空いたぁ〜〜っ」 車から降りた俺は両腕を空に向けて伸ばす。 目的地である遊園地迄はあと半分で今はサービスエリアだ。 (ご飯食べたらまた一時間半は車かぁ) 晴天と車の温度が調度いいせいで俺は運転する先輩の隣で爆睡してしまった·····。 本来なら寝ずに先輩と会話をして先輩が睡魔に襲われない様にしなければならなかったのに見事に自分が睡魔にKOされるという、、、、 「けーさん、寝ちゃってすみません」 サービスエリアの中を見て回りながら謝る。 「いや、寝るのはしょうがない。そういえば·····さっきまで寝てたから涎とか大丈夫か?」と、先輩は俺の顔を見ながら言い「だ、大丈夫ですっ!」と唇の周りを触って確認する。·····うん、大丈夫だ。 「怜は何食べたい?朝言ってたオムライスか?」 「そーですねぇ」 フードコートのお店を見てオムライスが無いか探すが、カレーやうどん、蕎麦やラーメン···クレープに唐揚げとかはあるがオムライスは見当たらない。。。 (残念だけどないな。あ、唐揚げにしよう) 先程通り過ぎた唐揚げとクレープのお店が直ぐに思い浮かぶ。 「けーさん!俺、唐揚げ食べたいです」 「唐揚げか、いいな」 先輩も良いみたいなので、二人で唐揚げのあるお店へ戻る。 「すごっ、」 フードケースの中にある唐揚げが予想外にデカく、思わずそのままの感想が口から出た。 一個が大き過ぎてこれは·····俺の場合三、四回に分けて食べないと無理だ、、、 大きさを例えるならPCのマウス位ある。 「確かに大きいな」 隣で先輩も言い「唐揚げ以外は何食べる?」と聞かれたので「野菜系が食べたいです」と俺は言う。 しかし、残念な事にこのお店にサラダや野菜を沢山使った食べ物は無かったのでサービスエリア内のコンビニでサラダを買おうという事に決まった。 「すみません、唐揚げ二つお願いします」 先輩が中の店員さんにお願いする。 「は〜い·····あらっ!お兄さん凄いイケメンねぇ〜。αかい?」 対応している四十歳位のおばさんが笑顔で話す。 「はい」 先輩は短く返し「隣の子はΩの恋人かい?」と、おばさんは俺を見て言うが、恋人·····って言うのは多分この首輪を見て判断したんだと思う。 (俺なんかが·····イケメンに釣り合うとは思ってないし) 契約で番候補の振りはしてるから、確かに今は恋人で間違いは無いので、俺は口を開けて『そうです』と答えようとした。 しかし、、、、 「ええ、近い内に番にするので·····俺にとって一番可愛くて愛しい奴なんです」と、先輩は微笑みながら返す。 「〜〜〜〜〜〜〜ッ?!?!」 (一番可愛いってなにっ?!それに·····い、愛しい?!?) 先輩の突然の甘い言葉に顔が急激に熱くなるのが分かり、すぐさま顔を下に向ける。 なんで先輩はこーいう恥ずかしい事を平気で言ってくるんだッ。しかも·····近い内に番にするとか言ってるし、、、、 「そぉーなの〜〜〜っ!!おめでたいわねぇ〜」 店員のおばさんは満面の笑みで言うと、唐揚げが入ったフードパック二つをビニール袋に入れてカウンターに置く。 先輩は「ありがとうございます」と、唐揚げ二つ分の料金を払ってその袋を持った。 「怜、行くぞ」 先輩は袋を持っていない方の手で、真っ赤な顔を見られたくなくて下を向いている俺の手を握りコンビニへ歩き出す。 「せ、先輩は、か·····可愛いとか···愛しいとか·······よく恥ずかしくもなく言えますね!」 熱が引いてきたので、俺は下を向くのを辞めて手を引いて前を歩いて行く先輩に言う。 「え?本当の事だから何も恥ずかしくないだろ」と、先輩は平然と言い、それを聞いた俺は「ほっ、本当の事ってなんですかっ」と、また顔が熱くなる。 俺には自信が足りないと先輩は言ったけど、逆に先輩のその発言と自信は本当に凄いと思う。 (自信かぁ) そんなもの·····持ち合わせたことがない。 自分の外見は他のΩに比べて可愛くなく、セックスも上手く出来ない。 出来損ないのΩだと··········そぅ、、ずっと水泳部のクソ野郎に言われてきた。 「怜は可愛いし綺麗だよ。もし、怜を貶すような奴がいたら俺が違うって何度でも言ってやるから安心しろ。それに·····愛しいのは本当だからな」 強気な笑みを浮かべて話す先輩が⎯⎯⎯⎯·····すごく眩しく見える、、、、 初恋の人は今も素敵な人で、先輩の言葉に自信はなかなか付いてはくれないけど勇気は湧く。 「けーさんは··········ほんと眩しいですね」 「俺が眩しい?今は屋内だろ」 俺の発言に不思議そうに変な表情を浮かべる先輩。 その表情が面白くて俺は笑った。 ◇┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◇ サービスエリアでお昼を済ませて目的地である遊園地へ再び向かう。 「あの唐揚げ美味かったな」 「ですね、車でも食べたかったです」 「はははっ、それやったら車がニンニク臭凄くなるな」と、先輩は笑う。 「あ、」 (それは駄目だ。この車高級車なのに) 「あ、そうだっ!中で消臭剤をまくのはどうでしょ?あとブ○スケアを食べたりして···」 「ぶふっ、、くくくくく·····やめて···············本気で手元が狂う」 やめて、と言う先輩は破顔した笑顔を浮かべている。 「先輩あんまり笑わない方なのに、そんな笑ってたら表情筋おかしくなりますよ」と、俺は先輩を揶揄う。 「そーなったら怜のせいだな。もそもそ、怜と再会してから笑ってばかりでこの数日間は右頬がピクピク痙攣する」 まさかの先輩のカミングアウトに今度は俺が大笑いした。 「あははは、はは、、、あ〜マジですか···どんだけ表情筋よわいんですかっ、ははは」 (笑い過ぎてお腹痛いっ) 「そんな笑わなくていいだろ」 破顔していた笑顔は今は拗ねている。 「すみません、つい。あっ!」 車のラジオから、大好きなアーティストの曲が流れた。 「怜は今も好きだよな」 「はい、けーさんはどうですか?」 「俺も好きだよ。時々家で聴いてる」 それからお互い高校の頃から好きなアーティストの話で盛り上がり、遊園地に着くまで続く。 ----------------------------- 【読者様へ】 いつもありがとうございます!! スターや本棚、ページスタンプ等本当に嬉しいですし、ここまで読んでいただけると思っておりませんでした。今もですが感謝しかありません。
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