囚われ

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囚われ

「·························。」 俺と先輩は無言のまま園内を歩いていた。 『怜は俺だけのものだよな』 『俺の事···好きか?』 『俺か?勿論、怜の事が好きだよ』 観覧車で先輩は何であんな事言ってきたんだろ? あれじゃ告白だろ··········。 いや、そもそも····会ってからの先輩は言葉も対応も凄く甘かった。 (じゃあ、あの写真の人は?好きな人じゃないのか?) 疑問ばかりが頭の中をぐるぐると回っている。 「怜」 「!、はっ、はい」 いきなり名前を呼ばれて俺は慌てて反応した。 「そろそろ帰るか?」 そーいえばあの事を考え過ぎてて今はパレードも終わり、アトラクションに並ぶ人達やコスプレした人達が写真を撮って賑わっている。 今から帰れば車の渋滞も少しはマシな筈だ。 「そーですね、帰りましょうか」と頷く。 「今度はさ水族館やバーベキューはどうだ?」と先輩が提案してきて、 「いいですね!行きたいです」と俺は返す。 「決まりだな。どっち先行きたい?」 「水族館ですかね」 遊園地デートの次もまた考えてて貰えたのが嬉しい。でも、、、今の先輩と話していると先程の観覧車の出来事が無かったんではないか·····と思えてくる。 (··········また俺を揶揄っただけなのかな、) 水族館の事を話していて、 「さっきの返事···帰ったらちゃんと聞かせて」と、突然耳元でそう言われた。 「〜〜〜〜〜ッ、、·····わかりました。俺もけーさんに聞きたい事があるので···」と、耳打ちされた方の耳を抑えながら返す。 俺の返事を聞いた先輩は「ああ。何でも聞いて」と何故か嬉しそうな声だった。 出入口のゲートに向かっている時、俺は帰る前にトイレを済ませようと「トイレに行ってきます」と言って最初に紐パンを履いたトイレへ向かった。 用を済ませてトイレから出て直ぐ「すみません」と声を掛けられる。 「?、はい」 なんだろ?と思い声を掛けてきた人を見ると、小綺麗で整った顔立ちをした三十歳位の男性が立っていた。 「突然申し訳ありません。貴方は柊 怜様でお間違いないでしょうか?」 (··········様??いや、、この人···何で俺の名前知ってんの?) 不審に思いながらも俺は警戒しつつ「はい、そーですが」と返す。 「失礼しました。私は小崎家分家の遠刎家に仕えております、八瀬と申します」 「、」 (分家·····) 先輩から仮の番として契約して欲しいとお願いされた理由。確か·····分家は幾つかあるとは聞いたけど、、、 警戒するに越したことはない。 「何の御用ですか?」 「遠刎家当主が柊様に話があるとの事でご同行いただけますか」 「俺にですか?でしたら、けー····健さんも近くにいるので呼んできます」と、話しつつ以前先輩から聞いた注意点を思い出す。 分家の連中は何をするか分からないから必ず一人での接触を避ける事。 会った場合は先輩を呼ぶ事、と。 「いえ、健様は別の者がお迎えに行っております故、怜様は私と一緒に行動をお願いします」 「···································。」 この八瀬さんと言う人は紳士的な対応をしているけど信用していいのか? (やっぱり一度先輩に連絡取った方が·····) 「分かりました。じゃあ念の為、健さんに連絡しますね」と、言いながら俺は鞄に入れていた携帯を取り出そうとする。すると突然、背後から布?らしき物を鼻と口に当てられた。 「うう"?!??」 俺は暴れて逃げようとするが、二、三人に取り押さえられ、必死に出す声もハロウィンイベントの盛り上がりで掻き消される。 (ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい) 焦りながらも手探り状態で携帯の画面を何度も押した。確か·····先輩との電話画面を縮小したままだった筈で、運が良ければ掛かる。 しかし、当てられている布に何か仕込まれていたのか酷い眠気にどんどん襲われていく。 抗いたくてもこれは抗えず、、、、 「··········け ···さ ······························」 とうとう、意識を手放してしまった。 ✼••┈┈┈┈••※••┈┈┈┈••✼ 「ん······、あ れ ?」 目が覚めて天井を見ると真っ赤な天井で俺はまだ動かない頭で周りを見た。 ベッドの枕側にある壁は真っ黒·····しかしそれ以外の机や椅子·····本棚や棚、絨毯までが全て真っ赤という変な部屋。 「此処は?」 先輩の部屋じゃない。 高級感はあるけど、なんか悪趣味だし·····いや、待て待て待てまて。 確か·····遊園地に遊びに行ってて、えっと、、それで帰ろうとしてトイレ行って·····それで⎯⎯⎯⎯⎯⎯··· 「!、マズい···················に······逃げないとっ」 遊園地での事を思い出した俺は起き上がろうと足を動かすが、チャリ····· と金具と金具が当たった音がした。 音がした右足を見ると、右足首に拘束具が装着されていてベッドの脚に繋がっている。 「なんだよ、、これ·····」 俺は拘束具を外したくて足を動かしたり手で外そうとするがそれを外す事は出来ず、何度も何度も足首を無理矢理動かしたからか拘束具の周りは赤く、皮が剥けてしまった。 ✼••┈••一部 ~完~••┈••✼
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