枯れてる?ED??

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枯れてる?ED??

「怜?」 名前を呼ばれて思い出していた記憶から我に返る。 「何?」 二、三年前の出来事なのに···俺は初恋の相手の顔をすっかり忘れてしまっていた。 我ながらなんて奴だ、、、と思う。 「ノートあんがとなっ」 慎二から先程貸していたノートが返され、 「あぁ、慎二がしっかりしてくれたら俺は嬉しいけどな、」とノートを受け取る。 「oh·····相変わらず怜はキビしぃ~」 「へぇー···なら、今後は貸さなくていいな」 俺が拗ねながら言うと慎二は慌てて何度も謝り、そんな姿が面白くて俺は声を出して笑ってしまう。 あのクソ野郎にも小崎先輩にもあれから会っていない。 転校した高校でもΩだという事を隠し、 無事に卒業した今はβと言う事で大学に通っている。 この大学はΩ~αまで居るが、大半はβだ。 薬も高校で使用していた物より強い作用の物をヒート前に服用している為か、Ωだとバレていない。 ·····まぁ、今度こそバレては駄目なんだが、、、 おかげで副作用で服用期間中は気だるい。 「また怜を怒らせたの?」 「ほんと飽きないよね~」 見ると、赤茶色のツーブロック刈り上げで前髪を五分五分に分けている180cm台の男と、 紫色のショートボブの160cm台の小柄な男が話しかけて来た。 「鳥部(とりべ)久坂(くさか)!俺は怒らせてねぇ~怜の心が狭いだけ」 「はあ??」 俺は慎二の言葉が聞き捨てならず、ふざけながらヘッドロックをかます。 慎二はギブギブと笑いながら言い、鳥部も久坂もその姿を見て笑った。 慎二はβ、鳥部はα、久坂はΩだ。 久坂にはΩの印として首輪·····というか、チョーカーが着いている。 俺は、、、そんな物さえ必要が無いくらいΩとしての特徴が薄い。 βが大半の大学なのに·····なんなら自分もβだと言っているのにαの友達とΩの友達が近くに居るのが不思議な日々だ。 「そーいえば、怜も今日来るよね?」と、突然久坂が言い、「? 、何処に?」と返す。 「そりゃあ〜合コンだろ」 上機嫌に慎二が言うが、初めて聞いた言葉に俺は一瞬固まった。 は? 合コン? 初めて聞いたんだが·····。 「いや、俺はやめとく」 Ωだとバレるわけにはいかない··········弱みに付け込んでまたあんな事があっては困る。 今度は高校の頃みたいにバレたからといって大学を変える訳にもいかない。 「え~~行こうよぉ」 「そーだよ、怜来ると思ってたのに」 「残念だなぁ」 三人とも俺が来るのが当然の様に話掛けてくるが·····行かないからな? 遊びでも前もって言わないと行かないからな? それから結構ごねられたが、俺はバイトだからっと言うと逃げる様に帰る。 ◆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◆ 後日、三人は眠たいのか欠伸をして目には隈が出来ていた。 昨日の合コンは当たりだったのだろう。 「昨日の合コンどーだった?」 眠そうな三人に尋ねる。 「あー·····まあまあ」と鳥部は答え、 「俺は途中で帰っちゃったし♡」と久坂は言うが·····表情は何処か嬉しそうだ。 慎二は「大成功ッ!!聞きたいか?聞きたいか?」と聞いて欲しそうに言ってくるがウザイのでスルー。 「今度は怜も行こうな」 鳥部が話を振ってきたので、 「合コン以外なら行く」とお茶の入ったペットボトルのキャップを空けながら言う。 「合コン以外ならって、、もしかして·····コレいるの?」久坂が小指を立ててイタズラした子供のような表情を浮かべて聞いてくる。 「いない、いない。学業に専念したいだけだよ」 嘘じゃない。 Ωが社会的地位が弱い理由の中には知能も関係している。 βが並だとすれば、Ωはそれ以下········。 復習をしっかりしないとβのフリも出来ないし、学費免除の為に成績上位を維持する事さえ無理だ。 何をしなくても出来るαは論外だ。 ほんと、、、第二の性が憎いッ。 「え〜〜〜あやしい〜」 久坂が納得していないようで拗ねている。 「ホントだって、···それに一生独身でいくつもり」 「 え"っ 」 久坂以外の二人も何故か俺の言葉で声を上げた。 「ちょっ、怜·····その年で枯れすぎじゃね??」 慎二が有り得ないと言いた気な表情を浮かべている。 「慎二、枯れすぎ·····は言い過ぎだ」と鳥部が慎二の肩を軽く叩く。 「一生独身って勿体ないよ〜」 何故俺の人生の事なのに三人から独身を否定されるんだろうか··········。 「枯れてないし、独身でも良いだろ。今のご時世そんな珍しい事じゃないし」 「え〜じゃあさ、彼女は作るの?」 「いや、恋人自体いらないな」 「それが枯れてるって言うんだよww」と、慎二がツッコむ。 「·····怜、まさかEDなの·····か···?」 深刻な表情で鳥部が聞いてくるが·········· え? ED???なぜ?? 「は?何言って··· 」 「いや、言わなくていい。俺の知り合いの腕の良い専門医を紹介するから、、ごめん·····気付かなくて·····」 「だから、違うって!!」 酷い誤解だ。 枯れてるとかEDと言われて流石に腹が立つ。 拗ねてそっぽを向いていると───····· 「じゃあ、俺が試してあげようか?」 「 !、」 鳥部が突然俺の耳元で話し、手が俺の腹部を優しく撫でてくる。 「なっ·····に言ってんだよ。鳥部はαで俺はβだ。そもそもβの俺にそれをするメリットはαのお前にはないだろ」と、腹部を触る手を退かして話す。 鳥部はたまに変な事を言ってくる··············· まるで·····Ωだと分かってて話す様な···、、、 「コラ〜っ!ま〜た怜にセクハラする〜」 久坂が鳥部の耳をつねった。 「イタタタタ·····ごめんごめん」と鳥部は笑う。 そんな二人の姿を見て俺は胸を撫で下ろした。 鳥部と二人っきりじゃなくて良かった、、、 「怜」 「なに?」 耳をつねっていた久坂が俺に話し掛け、 「これ·····なーんだっ♪」と、何かのチケットをヒラヒラと動かして見せる。 「あ"っ?!?!それは··· 」 高校の頃からずっと好きだったアーティストのチケット·······メジャーデビューしてから人気が爆発的となり、今ではチケットの倍率がとにかくエグい。 チケットに釘付けとなった俺に対して、 「怜が俺のお願いを一つ聞いてくれたらあげるよ」と久坂が黒い笑みを浮かべて言う。 「 ···お願い·····?」 嫌な予感しかしない。。。 「うんっ ♪ 実は今日αとΩ専用の合コンがあるんだけど、俺用事が出来て行けなくなったの♡大事な合コンで抜けたらダメなんだ。だから〜代わりにΩとして行ってきて」
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