六月十三日月曜日 晴天「ハジマリの日」

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「アイス、おばあちゃんから! 溶けるから、早く食べて」  ああ、と私が手にしている物に気づいて、ようやく少しだけ表情をやわらげた。  首元のタオルで汗を拭いながら、縁側まで来て腰かけた彼にアイスを手渡すと、口でパッケージを器用に破いてアイスを頬張り始める。  私も立ったまま、その場でアイスを食べながら。 「着替えたら私も手伝うから」  ボソリと呟いた。 「別にいい、もうすぐ終わるし」 「おばあちゃんに頼まれたの、手伝うから!」  あんたのためじゃないってことを強調すると、フンっと鼻息をもらす青山くん。  上から見下ろしたら頭皮まで汗をかいている。  真剣に草むしりしてたんだろうな。  アイスを加えたまま、キッチンに向かい冷蔵庫から麦茶を出してコップに一杯注ぐ、ついでに氷も入れた。  そのコップを持ってまた縁側に戻り、青山くんの隣に置いた。  これは何だ? と言いたげに私を見上げた彼に。 「麦茶、飲めば? あと、ゴミ回収するね」  食べ終えて手に握られていたパインアイスのパッケージを取り上げ、自分の部屋に戻りゴミ箱に捨てた。  私も残り一口を齧りながら、Tシャツと短パンに着替えてポニーテールをグルグルまとめてお団子にし、首にタオルを巻いて、縁側に戻る。  空になったコップを置き、アイツはもう既に草むしり作業に戻っていて、私も慌てておばあちゃんのサンダルをつかっけてそれに習うと。 「お前、あっち側やれよ」  青山くんが指さした先は、あまり草の生えてない場所だ。 「え? でも、こっちの方が」 「嫌なら手伝うな、あの一画以外は、俺のテリトリーだからな?」 「なに、その言い方! 大体、あんたん家じゃないくせに、なにがテリトリーよ」  ブツブツ言いながらも、指示されたその場所に向かってから、気づいた。  あ、涼しい、ここ日陰になってるんだ。 「あの、あり」 「麦茶、ごちそーさん!!」  私が言いかけたのが何なのかわかったのか、慌ててそれを遮る青山くんの背中に、心の中で『ありがとう』とつぶやいた。
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