六月十三日月曜日 晴天「ハジマリの日」

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「キラが時々丁寧にブラッシングしてくれるからね。そこいらの血統書付きのワンコより、いい毛並みだろ?」  おばあちゃんの言葉に彼をみたら、照れたような顔をしていた。 「あ、そうだ、キラ! あんた、キラリにも散歩の仕方教えてあげておくれよ。ノビルのお気に入りの散歩コースを知っているのは、今じゃ私よりもあんたの方だしね。さ、そうと決まれば二人とも夕方の散歩行っておいで」 「「え!?」」 「ほらほら、陽が暮れちゃうよ。キラリ、明日っから朝は五時起きだよ? キラは五時半には散歩に出かけるからね?」  も、もしかして、今朝私が見たのは散歩帰りだったのか。  五時起きはツライ、起きたことがないよ……。  肩を落とした私に、おばあちゃんは笑う。 「キラリは運動神経抜群だって聞いたから、てっきり体力もあるもんだとばっかり思ってたんだけどねえ」  挑発的なおばあちゃんの言葉に顔をあげて。 「体力ならあるもん」  ノビルのリードを手にして、立ち上がった。 「おい、待てって」  散歩くらい一人で、とポールからリードを外した瞬間に。 「えっ」  リードを持った右手をノビルが突然力強く引っ張った。 「おい、絶対離すなよ、離すんじゃねえぞ!」 「え、待って、ねえ、ノビル!?」 「いってらっしゃい、夕飯までには戻っておいでー」  おばあちゃんの声に見送られ、全速力で走り出したノビルのリードをしっかり握りしめ、引き摺られるように走り出した。
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