六月十三日月曜日 晴天「ハジマリの日」

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 離婚したわけでもなく生まれた時からシングルだった母がつけてくれた私の名前。  私が生まれた夜の星がとってもキレイだったから、希望の星って意味で名付けてくれたらしい。  でも他人には読みづらい名前で、「きらり」って響きだけで、キラキラネームとか言われちゃって。  親は何を思ってそんな名前を付けたんだろうね? ああ、母一人、子一人だしね、なんて心無い言葉を何度も言われてきた。  ここでも、そう思われるのか……。  だけど、たった三ヶ月なんだから我慢しないと、悔しさを逃すためにスカートの端をギュッと握って小さく深呼吸。  それなのに。 「あら! 本当にキラキラね」  こともあろうか、増田先生までそう言って笑ったものだから、悔しいを通り越してショックで泣きだしそうになった時だった。 「うるせえよ、先生まで! キラキラって呼ぶなよな!」  そんな男子の声に、ハッとして顔をあげた。  窓際の一番後ろの席で不機嫌そうな顔をして腕を組んでいる男の子がいる。  怒ったような顔をして、皆を見回していた。 「だって、キラとキラリちゃん、二人揃ったらキラキラじゃない?」    活発そうなショートカットの背の高い女の子が、私とあの怒っている男の子の顔を見比べて悪びれずに笑っている。  ん? なに? どういうこと? キラとキラリちゃん?  訳が分からずキョロキョロと周りを見渡したら、増田先生が気づいたらしく。 「ごめんなさいね、柴田さん。このクラスにはね、元々『キラくん』がいるの。青山(アオヤマ) 綺空(キラ)くん。あ、そうだわ、柴田さんの家のお隣に住んでいるのよね? 青山くん」
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