第五話 魔力補充とメンテナンス

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 まったく…この人は何を言いだすのだとため息をつく。 「普段はこんなミスはしないんですよ…ただ、あなたが食べてくれるかと思うと緊張で手が震えてしまって…」  そこまで言われると悪い気はしないが、そんなにブラックジョークを連発されても対応に困る。 「そう言えば、バロティーヌって確かフランス料理ですよね?  このサルサベルデをかけて、いただけば良いのでしょうか?」  専門はイタリアンの筈だが、フレンチも作れるのか? 「フランス料理だとよくご存じですね、イタリアンがメインにはなりますが一応創作料理店って事で…場合によっては中華や和食だって作れますよ?  サルサベルデはバロティーヌにかけて召し上がってもらえるように作ったのですが、一応味見してもらってからの方が良いかと思います」  長谷川渚の料理に感動して、リベルタに通う様になってからはイタリアンやフレンチをネットでよく調べる様になった事もあって料理名だけは知っている。  それまで「食」はお腹を満たせば何でも良いと感じていた私にそこまで興味を待たせたのは本当に凄いと思う。  彼女に言われて、サルサベルデをスプーンで少しだけすくって一口舌にのせると、何だかほんのりといつもいただく人気ナンバーワンメニューの味がする。 「美味しい…。  何処がとは言えないのですが、何だかいつもいただくカルパッチョの味に雰囲気が似ている気がします」  そうこたえると彼女はとても驚いた様な顔をしていた。 「百合沢さん、味覚凄いです…よく分かりましたね。  メインはイタリアンパセリなのですが、そこにいつもカルパッチョのソースに使う瀬戸内レモン、今回は汁と皮を混ぜ込んであるんです」  なるほど、私がそう思ったのは瀬戸内レモンの風味だったという訳か…。
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