第九話 愛情の行方

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第九話 愛情の行方

 渚の胸に突き刺さった【ボナペティート】を引き抜くと、魔力が空になっている事が分かる。  最低でも三年は保てる魔力を封じた筈だったが、一年程度で空になっているのはどう考えてもおかしい。  そう思って、調べてみると私が設定したリミッターが何者かに破壊されているではないか。 「だから魔力には気をつけろと、あれ程言ったというのに…」 【ボナペティート】第三効果「愛情のこもったものほど美味しく感じられる様になる」のせいで、暴走した彼は衝動を止められなかったのだと思う…。  彼女は息子の事が大切だったからこそ私に依頼してきたのだろうし、親子の関係を回復させたいと本気で思ってもいた。  そういう意味では彼女自身、息子に愛情を注ごうとしていたのは紛れもない事実なのだ…。
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