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「そう。しかも一番いいのは、キミに選ぶ力が宿っていることだ」
「そーなの?」
別に誰がどの担当でも、変わらないのではないか。そんな風にアイリアは思っている。正直なところ、彼女は自分の能力の活用法が分かっていない。あまりにも抽象的で複雑なのだ。
だがルーシィはかなり理解しているようだった。この能力に関しては初めてだったはずだが、そういったものへの慣れ、だろうか。
「何か、とても大きな壁に差し掛かっても、キミなら最善の乗り越え方を選べるはずさ。大丈夫だ、キミは強い。自分を信じるんだ」
「うん。わかった」
どうも自信がなかったアイリアも、こう一言言われるだけですぐ素直な返事ができるようになってきた。ルーシィとの戦いの最中に吹っ切れた姿よりも、更に垢抜けたような、そんな印象だ。
「さて、と……まだ何か、話す事って、あったっけなあ〜?」
「いや、いきなりとぼけられても困るよ。あたしに何か伝えたいことがあるっていうの、すっごい気になってるんだよ?」
「ああ、そうか。ごめんね、ちょっとイザとなると緊張するというか……それで、忘れちゃってたな」
いきなり様子がおかしくなった。緊張するとつい口走った通りの様子。アイリアから度々目は逸らすし、変に言葉を選ぶように間を空けているような、妙な違和感がある。
アイリアの目はじっとりと苛立ちを表に見せていたが、だんだんと心配に変わってきていた。
「とりあえずさ、落ち着こ。ね、あたし基本的に何を聞く準備もできてるから。あとはキミの準備、いつまででも待つから、ね?」
「ふぅ……よし、心が決まった。イーリアス、いや、アイリア。キミに伝えたいことがあるんだ。とっても大事なことだよ」
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