Zwei:Erinnerung

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「た、短絡的……まあ、その通りでしかないけど」 「まあ見ていくといいさ。こういう、機械的労働をさせられるけれども、周りには優しい人がいて、生きにくくはない、そんな日々を過ごしていた奴隷。それがキュプリアの本来の姿だった。ある日から、それは変わってしまったけどね」  きっかけは、戦争が始まったことだった。戦争には大量の兵士を要する。市民奴隷問わず、多くの人間が職業軍人、あるいは奴隷兵士として従軍していた。だが、一定数の志願兵を募集したりもしていた。  少女は主人に許しを得て、志願した。その動機は、人のためになることをしたい、それだけだった。  少女にとっては、人のための行動をするというのが、自分の行動理由で最も大きなことだった。自分の強さへの自信、多くの人々のために尽くせる、といったこともあり、志願しない理由はなかった。  そして、やはり大活躍した。兵器に頼る部分が大きいことから、あまり本来の実力は発揮できないが、それでも存分にその特異性を活かせた。 「積極的に攻撃するのはいいが、格好の的になっているということは理解しろ」  ある兵士は、少女にこう言った。それに対しての答えはこうだった。 「何一つ問題はない。私には何も当たらない」  意味の分からない自信に、その兵士はもはや何も言うまいと呆れるように言ったが、確かに事実として、少女はかすり傷一つ受けなかった。 「まあ、魔女だから通常兵器は頭に思いっきり喰らっても傷一つ残らないってことだよね」  アイリアも流石にこのくらいでは何も驚かない。だが、この少女の場合、もう一段階上。 「それもある。だけど、彼女の場合、本当にね。あらゆる砲弾が、銃弾が、爆風が彼女を避けている」
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