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「えーと……」
残念なことに、ルーシィが何を意図しているのかは全く分からなかった。武器を使って何かするのか、程度には思っていたが、全く伝わらなかったようだ。
「キミを勝者として讃えるための、いわば儀式だ。介錯、なんて言葉は聞いたことがある……と思いたいんだけど、ない?」
「ないよ。もしかして今死にそうな状態で耐えてるのって、そういう?」
「ああ、うん、まあそういうこと、かな……キミのやるべきことは、すごく単純だ。ボクの首を、バッサリと切り落とすことだ」
納得したらしく、切り落としやすくするためか、二刀流を変形させて合体させ、長い剣にする。そして、ルーシィの左後ろへとゆっくり移動した。
「ここが一番やりやすい……かな?」
「飲み込みが早いな。本当に、なんというか……急に人が変わっちゃったような、そんな感じがするよ」
「ほんとにね。あたしも驚いてるよ。きっとあれは、あたしを本当の意味で覚醒させる何かだったんだろうね。それが望ましいかは、分からないけど」
きっと望ましくないのだろう、そう思いながらもアイリアは剣を両手で構える。刃から首までの距離はほぼゼロだったが、すぐには振り下ろされずに止められる。
深呼吸をして、息を止めてすっかり準備を整えていたルーシィも、調子を狂わされたためについつい嘆いてしまう。
「どうしたんだよ、こういうのは早くやるんだよ。なぜなら……ボクが、けっこう苦しいから」
「それはちょっと……ごめんね。もうちょっとだけ耐えてほしいな。あたしにも良心があるってのは、そりゃあすごく伝わってると思うんだけどね。その良心っていうやつが、ちょっとジャマになってるんだ」
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