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「そうか。じゃあ、お互いに気が紛れるような話でもしながら、気持ちを落ち着かせるといい」
そんなことを言われても、気の利いた話は何一つ思い浮かばず、気まずい沈黙が流れる。致命傷のあるルーシィの腹部は、若干消えかかってきていた。
そんな時に、急に思い出したように話を始めるアイリアだったが、その内容ははっきり言って気の紛れるものではなかった。
「ねえ、あたし達って本当に……友達、でいいんだよね?」
思わず吹き出すルーシィ。その時に腹部の(感覚ははっきり残っている)痛みが走ったのか、歯を食いしばり片目を閉じながら振り返る。
「なん……なんだ、いきなり……キミ自身がさっき言っていたことなんだから、自信持ちなよ」
「自信持てなくなったから言ってるんだってば。あんな顔されちゃ、気にならないわけないでしょ」
ポカンとした様子で、あれ、と一言漏らすルーシィ。どうやらこの魔女、顔に出しているつもりはなかったらしい。言葉に反応したくらいにおもっていたのだろうか。
アイリアが本気で気にしている理由を、よく分かっていなかったようだ。だが理解して、また同じ顔をする。おそらく今度は、自覚して。
「そうか、キミはボクに嫌われていないか不安なんだな」
「違うって……ことは、ないかも」
「正直なのはいいことだ。大丈夫、ちゃんと友達だよ。嫌いなわけがない。だけど、もっと違った存在になれたらな……いや、こんなこと、望むものじゃないな」
質問への回答はあったが、アイリアの望む答えはそこにはなかった。その答えが欲しいと伝えなかったからなのか、隠したいからなのか、それは彼女には知り得ないことだ。
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