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Eins:Kampf
【望まぬ戦い】
「いや、ちょっと待ってよ、冗談だとしたらそれチョー悪趣味だと思うんだけど……」
アイリアが全て言い終わる前に、ルーシィは大きく飛び上がり、両手の武器を側に振りかぶってアイリアに向かってくる。冗談じゃない。
問い詰めるにしても避けなければ。すぐ振り下ろしが来る場合、アイリアは弾くものを呼び出すのが間に合わない。タイミングを合わせて避けるのが確実なのだが……遅い。あまりにタイミングがとれない。
結果として、振り下ろしを見てから回避することになり、右手首から先が宙を舞うことに。
「冗談か。ボクも、まだ信じたくないんだよ。これ以外に方法が無さそうなことを」
「……そう、なら……戦わないと……」
震える声、震える手。覚えてそれほど経たない呪印を使って、大剣《GRANDMASTER》を手元に呼び出す。左手だけで扱うには大きすぎるが、しばらく待てば右手は戻る。相当な時間がかかるが、それまでの辛抱。
それまで、状況をなんとか理解するために問い質し続けた。
「ねえルーシィ、今まであたしを殺すための準備をしてたっていうの!?」
「違う。本質的には全く違う。準備をしていたとするなら、キミと真っ向から全力で死闘を繰り広げる準備だ!」
「だとしたら……だとしたら、さっきまでの楽しい旅は、今まで一緒に過ごした日々は……!」
「嘘じゃない!」
ルーシィの叫びと共に、地面が揺れるほどの強烈な振り下ろしが叩き込まれる。さすがに防ぎようがないので後ろに避けるアイリア……だったが、あまりに強いインパクトにより空中に打ち上げられる。
それよりも恐ろしいことは、その打ち上げよりも速くルーシィは上昇し、アイリアの上に回り込んでいたことだ。
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