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【世を捨てた者の記録】
連行された先で、少女は尋問を受けることになった。あのような規模の爆発を起こす手段は、この国では開発されていない。あったとして、それを持ち運ぶ、持ち込む、作ることは許可されていない。
しかもその爆発の中にいたとみられ、本人は「自分がやった」と証言したときている。疑いの目は避けられなかった。
少女は連行されている間、せめて現実よりはよほど現実的な嘘をつこうとずっと考えていた。だが、すぐに飛び出す矛盾の数々のせいで、結局は矛盾が生じないぶん事実を正直に話す方がマシだった。
もちろん、自分の力のことは極力悟られないようにしながら。
「でも、これじゃあどんどん怪しまれる一方だよ。せっかく故郷のために力を使ったのに……!」
「故郷のため、か。少なくともあの爆発に関しては癇癪っていうのがあったと思うけど、どうだい?」
アイリアの主張も、ルーシィの主張も当たっている。だからこそ、明らかな忠誠心と危険性に、軍部は板挟み状態となっていた。
独房に入れられ、自由を奪われた状態。そのまま数日が経った頃、予期せぬ時間に扉が開いた。開けたのは、いかにも富豪という雰囲気の男。にこやかな笑顔を浮かべる老人だった。
「こんなところまで来てしまって、苦しかったろう」
「……あなたは」
「君の主だ。直接会うのは初めてだね。よくやってくれたね、さあ帰ろう」
なんと、下っ端の奴隷とは一切顔を合わせることすらしないような雲の上の存在である彼は、少女のために説得をしたのだそうだ。爆発一つで、大きく戦況が有利になっているという情報を手にしていたらしい。
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