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「ええ、生きております。この通り。死ぬほど腹が減っても死ねないのです」
「でしょうね。そんなだから、逆に興味がわいたみたい。更には、戦争での活躍。あれから20年、本当にとても平和だった。大量破壊兵器の開発に成功した、と勘違いされているみたいで、どの国も戦争なんてやろうとしない」
つまり、抑止力だ。核兵器の存在が魔法使いにとってもどうしようもない脅威であるのと同じように、この少女が起こしたという大爆発は、正体不明の兵器として脅威に思われていた。
これを聞いて、何かを察した。
「なるほど。そういった情報を総合的に見ると……私には、利用価値があると。ですが積極的に外部からの怒りを買う行為には賛同しかねますので」
「違う。実際のところアナタは存在するだけで抑止力になるから、実際に手を下すことはないの。ただ将来的なことも考えて……アナタの血を、未来へと繋ぎたい。それがご主人の望み」
大きなため息をつく少女。その感情は何だったのか、自分でも分かっていなかった。自分の目が死んでいるのは分かっていた。それは元からだっただろうか、それともずっと閉じ込められたからか、あるいはこの言葉のせいか。
いずれにせよ、ハッキリと、少女は意思を示した。
「それはもっと、できません。私の力は子孫に脈々と受け継がれていくというお考えによるものでしょうが、忌むべき力は断つに限る。それに、私自身の意思として……そんなもの、奴隷の身が持っていいものかは分かりませんが……恐らくは、ご主人様の思惑にあると思われる私的な利益に、与したくないのです」
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