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だが、結局キュプリアは一向に死ぬ見込みはなかった。もはや空腹だとか、痛みだとか、そういったものはなかったし、死にたいという考えすら消えて、あらゆる思考が消えても、死ななかった。そしてやがて、土埃が積もって、地中の石と同化しそうにまでなった頃。
突然、黒い少女の視界に光が入る。
「おい、冗談じゃなったのかよ……この辺りに、女の子が埋まってるなんて」
「ただの娘ではないと言っておろうが。200年前にここにあった国を滅ぼしたという、伝説の少女。何があったのかは知らぬが……我々と、似たもの同士じゃ」
若い男女の声。男は声の若々しさ相応の反応を見せていたが、女の方は老人のような落ち着きを払っている。
どうやら、今度は200年眠っていたらしい。あまりに眠りが長すぎて、体がまだ動かせないキュプリアは、二人の話を聞く。目がうまく開かないのでよくわかっていないが、どうやら運ばれているようだった。
「それでも疑問なんだけどな。今更200年前の人間の死体なんか掘り起こしてどうするっていうんだよ」
「馬鹿者。よく観察せい。こやつは冷凍されていたでもないのにこの状態の良さ、そしてよくよく音を聴けばわかるが……脈拍と、呼吸がある。本当に、生命に最低限な微弱なものが……触れてみれば、すっかり冷え切っているが体温もあるな」
急に男が恐怖で固まった。それもそうだ。自分が掘り起こした、200年前の人物だという、安らかな表情で眠る少女が、生きているというのだから。
男は全身の力が抜け、背負っていた少女を落としてしまった。その衝撃で体が動くのを思い出したようで、少女はゆっくりと目を開いた。
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