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「似た者同士……お前と、私がか。面白い冗談だ。私がどれだけ怯えて生きて、苦しみに伏せていたと思っている?」
「そう、私達は本質的には違う。人に疎まれ、居場所がない、その点のみが共通点よ。然れども、そなたの苦しみの大きさには、誰も敵わぬ。そして、そなたの器にも、誰も敵わぬのじゃ」
「器?」
器が大きいと言うのでもあるまい。まだ満足に話し合ってもいないのに、そんなことをさっさと判断するような者だとしたら、それは早計、キュプリアにとっては最も嫌うものだ。早計、決めつけ、偏見が、この永遠の少女を苦しめていたのだから。
であるとするならば、器と呼びうるものは、これだ。
「そなたの持つ力。国を消し去ってしまうだけのものとはいえ、人を守るためにも使えはせぬか?」
「なっ……そんな馬鹿げた話が──」
いや、ある。元々、こっそりと人の為に役立つように使っていた力。最初に解放したのも、自分の故郷を守りたいためだった。自分の本質は、破壊者ではなかったはずだ──そう思い、少し考える。
眠っている間、ずっと正当化し続けていたが、どうしても消えなかった意識がある。罪悪感。故郷を滅ぼすのは、やはり悪だったという感覚。
贖罪に、なるだろうか。
「……まずは、話を聞こう。私は、何をすればいい?」
「私は、迫害を受けたりした者達を……とは言えども、ごく一部でしかないが……支えるための場、あるいは村、集落、街を作りたいと思っておる。そなたを迎えるのだ、我らを導く長として」
「受け入れないぞ」
即答。ずっと落ち着いていた女が、急にため息をつき、見るからに落胆しているというのを伺わせる顔を見せる。
しかし、キュプリアは続けた。
「長になる、それは考えてやってもいい。だが私の生きがいは人に尽くすことだ。人に尽くす下僕たることでしか、私は生きていけないんだ」
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