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アイリアの考えも、間違いではなかった。仲間達はキュプリアのあり方を肯定してくれたが、外部の者達は、肯定してくれない。そもそも、仲間達は皆世界に否定された者達。100年ほど経った頃に、多くの国が連合して街を攻めてきたのだ。
キュプリアを目覚めさせた「彼女」は、このような者達を護る役目を、期待していた。その役目が、果たされるべき時が来た。
「あっ、もう街のすぐ側にまで敵が……」
「こうなったとしても、すぐに形成を逆転できてしまうのが魔女の恐ろしいところでね。まあ見てなよ」
アイリアには、この時のルーシィの顔が不気味で仕方なかった。何かとても趣味の悪いことを考えていやしないかと思うと、とても恐ろしかった。
街の人々は次々に迎え撃つ準備を始めた。キュプリアは街の中心に聳える塔の頂点から、遠隔攻撃で全方位に迎撃を行う。しかし敵は無尽蔵と言ってもいいほどにやって来る。
味方を巻き込まないように配慮しながら遠隔攻撃をするのは、非常に大変なことだ。魔法の力の感覚がだんだん戻り、300年越しの本調子になってきたとはいえ、そこまでの細かいコントロールは不可能と言ってもいい。
「侵入をどれだけ防げるか……何か策は……くそ……くそっ……!」
苛立ちが時々魔法の暴発を起こし、街の外縁部に大きめの爆弾が飛んでいく。当然暴発なので、味方も巻き込んでしまう。
一緒に話した人が、一緒に畑を耕した人が、一緒に家を造った人が、自分のせいで死んでしまう。そんなものを見ていられなかったキュプリアは、遂にそれを使うことを決心した。
「結界よ……この街を囲め、何人にも触れられることなき平穏を、この地に!」
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