Zwei:Erinnerung

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 それでも、と言いかけて、思いとどまる。ここで諦めが悪いことをしても仕方がない。  それよりも、ゆっくりと、二人で話をしたい。そう思ったアイリアは、何も言わずに座り込んだ。意図を理解したルーシィも、まだふらついていたが、一緒に座った。 「このフラッとする感覚も、これが最後かな……名残惜しいね。どうだい、地面に座るんじゃアレだし、ソファーと机でも作るかい?」 「そういうの作れるって便利だねえ……うーん、そうだ。学生寮のあたしの部屋、再現してよ」  すぐに景色が、アイリアとエンゼルの部屋に変わった。高いところから街を眺められる、広々とした部屋。窓の外は、ルーシィが堂々と窓から不法侵入してきた、あの夜と同じ風景だ。  二人はベッドの上に座って話す形になっていた。アイリアのベッドにはルーシィが、エンゼルのベッドにはアイリアが乗っている。慣れない位置だが、別に気にすることではなかった。 「さて……何から話す?」 「ま、まずはあたしの心配事からだよね。皆に、あたし達が何をすることになってたか、伝えたの?」 「まあ、皆ではないけど、ニルヴとエンゼルには伝えたね。いや、エンゼルはちょっと違うか……」  またややこしい話が始まりそうで、アイリアは物凄く嫌そうな口の歪め方を見せつける。ルーシィ的にもややこしい話はあまりしたくないのだが、彼女がやっていることは基本的にややこしいので、それを話すしかない。 「えーと、まあまずニルヴには、直接話した。エリアスとキミが試合した後に、二人だけで。彼は本当に凄いやつだ、大体のことを見抜いてた」
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