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「ああ、うん。聞きたいか、そうか聞きたいか」
「聞きたいよぉ〜。エンゼルがあたしに秘密とか隠してたらちょっと嫌だもん」
そういうことだということでいいか、とルーシィはとりあえず納得。だが同時に、明らかにエンゼルは秘密をいくらか有しているだろう、とも思った。それは黙っておく。
「エンゼルは、別に隠してたわけじゃないんだよなあ。ことの詳細は、ついさっき話したばかり」
「いやいやちょっと待ってよ。ついさっきって、あたし達はずーっと一緒に旅行してて……」
「この記憶領域に入れるための魔法、キミにしか使ってないと思った?」
アイリアは少なくともそう思っていた。だが、こう聞かれたからには間違い。そう考えると、すぐに繋がった。
「エンゼルもここに来てたの!?」
「うん」
「いつ!?」
「いつっていうのは難しいな。首を刎ねられた瞬間にエンゼルが来て、エンゼルと話してる間に現実時間は数分経過してる。けど、キミをここに呼んだのも、首を刎ねられた瞬間だし、キミと話していても時間は経過しない」
時系列的に矛盾しているようにも思えるが、概念的な世界を介しているために、このような擬似的に過去に戻るような挙動ができているようだ。確かにいつというのは難しいが、確実にルーシィの体感では、アイリアが記憶領域に来る前。「ついさっき」である。
「うーん、なかなか物理学的に興味深い現象が起きてる気がするんだけど……魔女の使う概念系の魔法ってそういうの超越してるよね、多分」
「多分ね。よく知らないけど。キミの好きな話ができなくて申し訳無い。エンゼルと話したことで我慢してくれたまえ」
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