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それでも少し深く思考しようとするアイリアだったが、結局うまいこと説明をつけるのは難しいと割り切ったのか、ルーシィの話を聞く姿勢になる。目線をしっかり真正面から突き合わせる、話す人の礼儀である。
「エンゼルと話したのは、ボクがもう死ぬこと、これからどこに向かえばいいか、そしてボクが言い残しておきたいこと。今からキミに話したいことと、だいたい一緒のことだよ」
「どんな反応だった?」
「まあ、すごい剣幕で怒られたよね。当然と言えば当然のことさ。いきなり裏切り行為をして、勝手に死んで、まだやるべきことは残ってるって、無責任すぎるし」
エンゼルの姿が目に浮かぶようだ。彼女のことなので、ルーシィの胸ぐらを掴んだり、殴り飛ばしたりはしただろう。とにかく酷い目にあわせたことは想像に難くない。
だが同時に思い浮かべられるのは、やるだけやってから落ち着いて、未来に向かおうとする姿。すぐ怒るし、すぐ暴力を振るうエンゼルだが、話を聞かない、受け入れないということは、意外と珍しいのだ。
「まあ、正直そんなタイミングでエンゼルに色々カミングアウトしたらそうなるよ。殴られたいとしか思えないね。なんでこんなタイミングを選んだのさ」
「発破をかけるタイミングだって思ったのさ。ずっと落ち込んでたはずだからね、ここが彼女にとって一番だ」
落ち込む原因については、心当たりがある。というか、心当たりしかない。一生引きずる可能性まであるくらいだ。
「ゲルパーさん、だね……」
「とりあえず前を向かせることはできた。けれど、ボクには完全に立ち直らせるってのは無理だったね。多分一生引きずる。世界を救うことができたら……支えてやってくれ。キミが最適だ」
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