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「それでもだ、ボクの最後の未練くらい、晴らしたかったからね。全部言いたかった。そして、最後の未練の中の、本当に最後の一つを、スッキリとさせたい」
「秘密は墓場まで持ってけないタイプなんだね、ちょっと意外だなあ……うん、そのあたり分かった、許す。それで、最後の一つって?」
「キミの答えを聞きたい。ボクの想いを、どうするのか」
ルーシィは、この問いに深く悩んでほしかった。かなり長い間考えるだけの価値がある、せめねそんな存在でありたかった。
だが、アイリアはほぼ即答ぐらいの間で返した。
「ごめんね、あたしは受け取れないや。いや、あたしはそういうの全然気にはしないんだよ。でもね、まともに受け取らない方が、これから先たぶん幸せだし。何より……エンゼルと、ニルヴが誰よりも大事だから」
「やっぱり、そう言うと思ったよ。全部話したのは、これが全周回でも初めてのことなんだけど……どうしてかなぁ……なんで、こんなに、分かっていたのに悲しいのかなぁ……」
ルーシィは急にアイリアに飛び付いて泣きじゃくる。いきなりのことに困惑させられながらも、優しく、滑らかな黒い髪をアイリアの手は撫でていた。
体温を感じられない。実体ではないからなのか、それともルーシィの意識が死に向かっているからか。いずれにせよ、アイリアにとって、これほど虚しい肌触りというものはなかった。
「もうすぐ、ここでの会話も終わる。ボクはもうキミとは話せなくなる。未来は、キミのためにある」
「うん。頑張るから、どうか見ててね」
だんだんと、空間がホワイトアウトしていく。五感のすべてが記憶領域から現実に引き戻されようとしている。
ハッキリとしないアイリアの聴覚は、微かに声を聞いていた。
「大好きだよ、アイリア。これからもずっと……」
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