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「あ、ごめん、分かんないけど……まあ30分以内には行けそうな気がする。魔女の力をフルに使えるようになった気がするし」
『なら急ぎなさい。ルーシィから黒い塔の話は聞いたでしょう?』
ルーシィの話では、まずは黒い塔の元へ向かう必要があり、そこに突入するのが目標、とのことだった。当然アイリアが忘れているはずがないし、この話し方からすると、妙な予感がする。
「もしかして、黒い塔って、そこに?」
『ええ。正確にはその隣、グロッサーガルテン、その中心。分かったならさっさと来なさい!』
「あ、あーと、えーと……」
『返事ィ!』
「りょ〜かいしましたぁ〜!」
相変わらずのやり取りをしてから、急ぎ飛んでいく。どの方向に進めばいいのかまず把握しなければならず、その上であまり目立たないようにしなければならないが、文明の利器の力を応用すればなんとかなることではあった。
飛ぶこと、予想通り30分ほどで、見覚えのある街並み、巨大な学生寮、そして見たことのない更に巨大な塔──というべきかも怪しい物体が見え始めた。そして学生寮の門前まで近付くと、エンゼルとニルヴがアイリアに向かって手を振っていた。
「いやあ、お待たせ〜。ニルヴももう来てたんだね」
「というか、僕がエンゼルを呼んだね。ちょうど実家から出たタイミングだったみたいだ。それで……君を待ってる間に、あれ、だいぶでかくなってるんだけど」
黒い塔は、遠くから見てもじわじわと大きくなっているのがわかる。力を蓄えている、ということだろう。
「あ、こんなになるまでモタモタしてて……ほんとごめんね!」
「謝ってる暇があったらさっさと行く!」
「そうだね。これが間違いなく、僕達の最後の戦いだ!」
アイリアとその親友達は、3人で眼前に見える強大な闇に飛び込むのであった。
目覚めの時だ。
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