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【死なぬなら、何度でも】
冷え切った紅い視線にアイリアは凍りつきそうになるが、なんとか自らを動かし、奮い立たせようとする。感情に流されたら敗れる。つい先程ルーシィに言われたことを実践する。
相手が全力で殺しにかかっているにもかかわらず、同時に重要な教えを与えている。奇妙な違和感があった。
再び接近戦となったが、クセを見切られるのを見越してなのか、今度は足技メインで攻めて来る。ゆったりとしている分トリッキーな動きで、上からも下からも来る。
「どうしたんだい本当に、ずっと守ってばかりじゃないか!?」
「その手には乗らないよ。あたしが反撃したところで反撃に対するキミの反撃が刺さるはず。絶対的な数字が物語ってる。ならあたしは刺せるとこで決めてやる!」
実際に、アイリアは最初からその方針だ。そしてそこに向けての調子がだんだんと上がってきている。これは武器が偶然にも足技と相性が良かったのも関係しているだろう。
《GRANDMASTER》の基本性質は、主に三つ。まず、大きいこと。刃渡りがアイリアの足から胸上辺りまであるので、攻撃を受けやすい。次に、軽いこと。片手剣のように扱えるので、もう片手をフリーにできる。
そして、最大の利点は。
「ふっ、見えた!」
「くっそ、何で刃こぼれひとつしてないんだよこれぇ!?」
異常な頑丈さ。この光の大剣、絶対に傷まないのである。ルーシィのようなほぼ実体のない武器でもないのに。これらによってもたらされるのは、異常な弾き性能。
そして一瞬でも相手の体勢を崩せば、アイリアのもの。一撃を叩き込む……ただし、無意識に刃ではない場所で殴打する形になっていた。
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