M男くんとM子さん

2/16
前へ
/16ページ
次へ
「M子のうんこなら食べちゃう」 「今ここで、甘露煮にかけますか?」 「待って」  渋々布団から顔を出すと続けて言う。 「甘露煮は甘露煮で食べたい」  2人は、いつもこんな調子だった。  叩いて、叩かれて、の仲だとM子さんは言っていたが、形式上M男君がご主人様でも2人の間に上下はなかった。 「あら、M子さん。こんにちは」  病室のドアが開き、妙齢の女性がM子さんに声をかけた。M男君の妻である。 「奥様。お邪魔しています」  M子さんが笑顔でそう答える。奥さんは、M男君とM子さんの関係を知っていて、容認している。そればかりか、たまにM子さんと2人で買い物や食事も行っていた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加