パンデミック

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その日、季節は春、東京都神楽のショッピングモール。PM14:18。 黒に金メッシュ入れたミディアムヘアの神叉 邏晞(18)は、ダチの鷹峰と楠田と宮内と遊んでいて、吹き抜け側のベンチ付近で屯して喋っていた。 「アイツ(先公の原田) マジサイコだろ。完全に狂れてるよ」 神叉が狂った量の宿題を出しまくり、顧問のバレーボール部では体罰しまくっている原田の事を言う。 「目がイッちまってるもんな」 鷹峰が言い、楠田が言う。 「ヤクやってんじゃねーか?」 「やってる。ゼッテーやってるよ」 宮内が頷きながら言い、神叉が言う。 「誰か処刑しろよ」 鷹峰たちが笑う。 近くの女子校のJKたちのグループが神叉を「ヤバい カッコいい」と興奮し見ていて、キャッキャしてる女子たちを尻目に神叉 邏晞(かみしゃ らき)が続ける。 「ロクな教師いねーよな うちのクソ校」 わいせつ教師に病的までに根暗なうつ教師に神経質過ぎる未婚年増女教師に、そして最近捕まった生徒に対する殺人未遂教師。 「マジで転校しようかな」 「らっきー」 鷹峰がニックネームで呼び、神叉が振り向く。 「ん?」 鷹峰が神叉を見上げて厳かに言う。 「おれもそれ考えてた」 神叉たちが笑い、JKグループが神叉に話しかけなよとお互いにやり合いながら神叉と何とかコンタクトとろうとし、宮内がJKグループを振り返って言う。 「あっちの高校行こうぜ」 「女子校だぞあれ」 楠田が見ながら言う。 「女装して」 「らっきーはイケるかも」 「いけねーよ」 神叉が宮内に言う。 「らきはイケる。ミニスカ履いてさ。美脚なんだから(すね毛生えてない神叉)」 鷹峰に笑う楠田と宮内。 「やだよ」 「1回やってみよーぜ!女装」 宮内が思いついたように言う。 「あそこで試着してみようぜ!」 「いいね!やろうっ!」 楠田も乗り気で言い、神叉が言う。 「やらねーよ」 「楽しくなってきたな」 鷹峰も立ち上がって言う。 「そうと決まったら行こうぜ」 「決まってねーよ。行かねーよ」 「女子たちにコーデ手伝ってもらおうぜ。おふざけじゃなくて本気のらき子ちゃんを爆誕させよう」 「メイキャップも必要だ」 宮内が言う。 「ああ」 鷹峰が頷く。 「それもあっち(女子グループ)に任せよう。ちょっとおれ頼んでくるな」 「ざけんな」 神叉が本気で行こうとする鷹峰に取っ掛かり止めて、戯れ合う。 同フロアのテナントに入っているスイーツ店で、JKの黒艶ストレートロングヘアの冴島 由美(17)は好きなナタデココヨーグルトジュースを友達の綾と並んで座って飲みながらその神叉たちの様子をガラス越しに見て話していた。 「クソバイトじゃん。わたしだったら辞めるわ」 バイト先で男先輩からしつこく交際を迫られる、シフトが強制的に組まれる、同僚の陰口が多い等、由美の辞めたい相談に対して綾がズケっと言う。 「辞めるっていいにくいんだけど、どうすればいいの?」 「学業が忙しくなったとか、バイト禁止なの学校にバレたとか、妊娠したとか適当に理由つけて辞めればいいのよ」 「妊娠?」 由美がうふふと笑って聞き返し、綾が言う。 「彼氏の子ができたって言うのよ。ない話じゃないじゃん。とにかく何でもいいのよ。 正直に言うのが一番だけど。案外クソバイトだったので辞めますって」 ズケズケ物言う性格の綾に由美が笑う。 「今電話しなよ」 「えー 今!?」 「今。ほら。付いててあげるから」 綾が早く言って楽になりなよと勧め、由美が意を決してお店に連絡して辞める意を伝える。 あっさりと店長が了解して、由美が切って言う。 「お給料取りに来てって」 「ん。解決した」 綾がナタデココヨーグルトを飲み、クソバイトから解放されて安堵する由美。 「良かったぁ。お給料も入る」 「いくらくらい入るの?」 「たぶん7万ちょっと」 「じゃあ相談料2000円ね」 「何でよ」 笑みを浮かべて由美が言う。 「わたしのおかげで辞めれたじゃない。感謝料3000円。合わせて5000円ね」 「じゃあアイスおごる」 「焼肉食べ放題がいい。パーっとやろうよ」 「いいよ」 由美が頷き、綾がジュースを飲み干して言う。 「カラオケ行く?」 「いいよ」 ティーンモデルの神叉を見つめてる由美の視線を追って綾が言う。 「カッコいいよね。好きでしょ?」 「べつに。好きじゃないけど」 「ウソばっか。告られたら付き合う?」 「さあ どうかな」 そう言ってジュースを飲む由美。 「絶対付き合うでしょ由美は。メンクイだから」 「みんなメンクイでしょ。基本みんなそうじゃない」 「そうだけど、由美はとりわけメンクイでしょ」 「とりわけメンクイじゃありません。綾こそ・・・」 2人は神叉を見ながら雑談して過ごす。 同フロアの吹き抜け側で中年のサラリーマンが日中に堂々と、ブレザー腰に巻いた色黒ミニスカ茶髪ギャルJKの上城 りおな(18)たちに援交を迫っていた。 「ねっ?イチャイチャするだけだから」 「マジキモい」 りおなが嫌悪感丸出しで言う。 「1人お小遣い5万円あげるから!ねっ?とりあえずホテル行こ!」 「ほんとマジキモい。ファックオフだし」 「10万ならありかも」 ギャル友の佐倉が言う。 「わかった10万。1人10万」 「ほんとに?」 もう1人のギャル友の須藤も金に釣られて、サラリーマンが言う。 「いいよ!」 「ありえないんだけど2人とも」 見た目はギャルだが中身は純情なりおながダチ2人に引き、スタイル抜群の美女りおなが特に目当てなサラリーマンが乗り気な2人に言う。 「君たちからも友達誘ってよ。さらに上乗せ考えるよ」 りおなが援交を迫られ続ける。 「フードコート行こうぜ。腹減った」 神叉が戯れ合ったあとで言う。 「おごってくれらっきー」 「土下座して頼めばおごってやる」 神叉が楠田に言う。 「ひでー。そんなのおれらの知ってるらっきーじゃねえ」 「土下座か一発ギャグで笑わせられたらいいぜ」 「よっしゃ!一丁おれが凄い一発ギャグ見せてやる」 鷹峰が言い、神叉たちがフードコートへ行く。 「うッ!ああッ!」 みやっちが急に体を折って唸り悶えて、神叉たちが振り向く。 「どうした?おっ!一発ギャグか?」 またいつもの悪ふざけかと神叉たちが見ているとーー 「ああアアアアァーッ!」 宮内の身体がメキメキと異形の化物に変化してゆき、神叉たちが恐れ慄いて飛び退く。 みやっちがブッチャーと変貌して唸り声をあげて、神叉たちが発狂する。 傍にいた楠田が八つ裂きにされて、無惨に殺戮される中で神叉と鷹峰がスーパーパニック状態に陥り、周りでは感染した人々が変貌し出していた。 「大丈夫綾っ!!?」 急に唸りながら悶え出した綾を由美が心配し、ウォーカーに変貌した綾が唸って由美に襲いかかる。 由美が悲鳴しながら必死に抵抗し、ウォーカーが八つ裂きにしようと凄い形相で由美を殺そうとする。 由美が死物狂いで押し離して、ウォーカーがバランス崩して倒れる。 周りでは変貌した感染者が人を襲っていて、由美が声にならない悲鳴をあげる。 目の前でブレイカーに変貌したサラリーマンにりおなたちが発狂して、ブレイカーが佐倉の頭を両手で掴んで頭を力ずくで潰しにかかり、絶叫する佐倉。 りおなが腰を抜かし、グシャッと頭を潰された佐倉の胴体が転がり、ブレイカーが唸りながら続いて須藤に襲いかかり、絶叫する須藤。 その絶叫にりおなが逃げなきゃと立ち上がって悲鳴あげて逃げ出して行く。 神叉と鷹峰がわけもわからないが生き延びなければと我に返り、神叉が叫ぶ。 「おい逃げるぞッ!」 「ああッ!」 ラッシャーが唸りながら突撃してきて、走り出そうとした神叉の目の前で鷹峰が吹き飛ばされる。 鷹峰がカラス柵を突き破って吹き抜けをラムと共に落下してゆき、神叉がまた恐れ慄き、発狂する。 ブッチャーが神叉に狙いを定めて唸り声を上げ、振り向いた神叉は血相変えて逃げ出してブッチャーが猛烈に追走する。 足速い神叉が死物狂いで駆け抜け、腰を抜かしている女性の傍を走り抜けて行く。 ブッチャーが女性に襲いかかり、激しい攻撃を受けながら女性が断末魔をあげる。 冴島がお店から飛び出すように逃げ出てきて、神叉とぶつかりそうになり、神叉と冴島の目が合う。 叫びと悲鳴が辺りで鳴り響き続ける中で、2人は言葉を交わしている間もなく神叉が脱出しようと再び走り出し、冴島が必死に駆け続く。 リッパーが跳び上がって老婆に襲いかかって長い爪で上半身を切り裂き、スラッシャーが鋭利な腕で警備員の上半身を無惨に斬り裂くのを尻目に神叉と冴島は一目散に非常口へと駆け抜けて行く。 悲鳴をあげながらりおなが猛ダッシュで逃げてきて「助けてーッ」と恐怖に叫びながら神叉と冴島に続き、デモリッシャーが3人を捉えて唸りながら八つ裂きにしようと激走して追い迫って行く。
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