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それでも翌朝、皆が食卓がついた時に台所から声をかけたのは、このまま電気のスイッチにはONしかないのだと思い込んでいるかのような生活をされてはたまらないからだ。
「昨日最後に上がったの誰? 電気ついてたよ」
「知らない」
納豆を混ぜながら五年生の明美が言う。
「良太じゃないの」
「僕じゃないよ」
三年生の良太の声はまだ幼い。
「お姉ちゃん、すぐ僕のせいにする」
「じゃあ誰だっていうのよ」
「知らないよ、僕だって。でも僕が寝るとき、まだみんな下にいたもん」
「こらこら、喧嘩するんじゃない」
口を挟んだのは夫の洋平だ。
「どっちも気をつければいいだろ」
「だってあたしじゃないし」
明美は醤油に手を伸ばす。
「そんなこといって、ほんとはパパなんじゃないの?」
「え? おいおい、パパは大人だぞ」
「関係ないじゃん。いっつもくさい靴下その辺に脱ぎ散らかしてるくせに」
「それとこれとは話が違うだろ。だいたい明美の方こそいつもプリント出すのが遅いって、こないだ叱られてたばかりじゃないか」
「それこそ関係ないし。昨日はちゃんと出したし」
「僕なんか毎日ちゃんと出してるもんね」
「いっつも学校でもの失くしてくるくせに、ドヤ顔やめてよね。昨日なんて給食袋まるごと失くしてきたじゃん」
「失くしてないもん! 学校にあるもん!」
私はため息をつく。思った通りの展開すぎて、いっそのこと笑いたくなってくる。一体いつになったら、我が家族は自分の行いを振り返り、反省し、節約に協力してくれるようになるのだろうか。
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