節約

　夕飯を食卓に並べ終え、さて食べようとなったところに夫が帰ってきた。いつも駅から連絡してと言っているのに。今帰ってくるとわかっていれば、一緒に全員分仕上げて準備してしまえたのに、こんなタイミングで帰ってくるから、無駄にもう一度火を入れたり、かけたばかりのラップを剥がしたりしなければならない。魚など一度に焼いて冷めたまま出せばいいとは思うのだが、性分で暖かいものを出すように動いてしまう。私も私だが、そもそも夫が一言電話なりLINEなりくれればいいだけの話ではないか。
「ごめんごめん」
　支度をしながら愚痴をこぼす私に、夫は少しも反省していない軽い口調で答える。その手には箱状の荷物がぶら下がっている。
「何、それ？」
「ああ、そろそろ替え時だろうと思ってさ、買っちゃった、パソコン」
　私は菜箸を取り落とした。