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舞台と世界地図
古来より人々の目に見えぬ領域に生きる小人たち。
彼らは、“大きい人たち”やその周囲の動物たちとはつかず離れずのところを自らの住処と定めて生きている。
ある者らは、“大きな人たち”から隠れる術を広め、
ある者らは、虫や小動物らと戦う術を発展させてきた。
身体が数倍ある“大きい人たち”を自然界の守人と考え、避けながらも利用し、畏れながらも干渉せずに共存してきた。
だが、ある日を境に世界は一変する。
“空隙”と呼ばれる人々の記憶がない空白の期間の後、“大きな人たち”は例外なくこつ然と姿を消した。
突然、小人たちだけの静かな日々が始まった。
ある者らは驚喜し、生息域を急拡大させ、
ある者らは不吉がり、より深い自然の中へと隠れていった。
しかし、彼らの中に自分たちの数も減り続けていることに気づく者は少なかった――。
* * *
空隙からおよそ半年後、山間の村ウェルぺの少年コルタスは原因不明の記憶混乱に悩まされていた。
また同時期、ウォルぺでは白爪(ハクソウ)病という目や爪が白くなり衰弱死していく、やはり原因不明な病が蔓延していた。
コルタスは仲間のダンより、白爪病に関係していると推察される管理機構と呼ばれる組織の噂を耳にする。
コルタスは、幼馴染であり冒険仲間のレナンがこの病に冒されつつあるのを助けようと、管理機構への接触を決意する。
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