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どうしよう?どうしよう?
私の回路は爆発寸前だ。
仕事の終わった尾崎はまた何事もなかったかの様に、旦那のいるリビングへ戻った。
「落ち着いたら雪美も来いよ。」
旦那が呑気に私を呼ぶ。
「あ、うん。何かもうちょっと作ろうかと思って。」
私は尾崎の近くへ寄りたくはなかった。
手が、、身体が震えている、、先程の恐怖だ。
「あ、俺、トイレ借りるっす。」
と竹原が席を立つ。
トイレはキッチンを通りすぎた所にある為、今度は竹原が近寄ってくる。
もしかしてこの人もなのっ!?
殆ど話はしていないが先程の恐怖の為、皆が 敵に見えた。
私はキッチンにしゃがんで震えていた。
見つかりませんように、と隠れたウサギの様に。
だがそれが悪かった。
通りすぎる竹原の目にうずくまっている私の姿が映ったのだ。
これでは逆に心配されて近づかれる理由を与えてしまっている様なものだ。
案の定、竹原はキッチンに入ってきて声をかけてきた。
「奥さん、大丈夫っすか?」
しゃがんでいる私の顔を覗く。
「あ、ええっ!大丈夫。ちょっと休んでいただけ。気にしないで。」
私はなるべく距離を保つ為後ずさりした。
大きな竹原の身体が私の体を包む様にジリジリと寄ってくる。
来ないで!
心の中で叫んだ。
その瞬間、顔を背けた私の耳に竹原が言った。
「夜はまだまだこれからっすよ。」と。
ニヤニヤしながら立ちあがりトイレへと進んだ。
これは、どういう事?
何?何が起こるの?
嫌だ。怖い。早く帰って欲しい。
私は願わずにはいられなかった。
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