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「チクショー」
スニーカーで床を踏み鳴らして頭を掻き毟る。
失う事は永遠に誰のものにもならないって事だろ。
笑顔が失われた代わりに苦しむ事も無い。
自分の身体に腕を巻き付けホールドする。
でも震えが収まらない。
ライトグリーンの液体の中で上昇していく泡は、バニラアイスに阻まれてグラスの中で踠いてるんだよ。
だからアイスが沈めば溢れるんだ。
「ケイティーーーー」
俺は叫んだ。
君の頭が弾けた。
銃弾は額に刺さり、脳漿を削って君を通り抜けた。
ゆっくりと倒れた君の頭から血が溢れて地面に広がっていく。
そこが棺なんだ。
血溜まりという敷布は、真っ赤な薔薇の花びらに変わって、ブロンドヘアごと君を内に包んだ。
────
追憶に釘付けられた全身を血が駆け巡り、熱が一ヶ所に集まる。
分厚い重みが腕から肩へと伝わり、存在を実感した。
汗ばんだ手にフィットする頼もしい鉄の塊を。
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