兄との思い出(弟視点)一

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 数分後にようやく撫で撫でするのを止めて「じゃあ、明日君行く準備しよっか〜」と今度は抱きつきながら彼女はそう促す。  しかし、雪夜がいつもお泊りセットをよく造っておいてくれるので行く準備は既に出来ていると言っても過言ではなかった。 「明日を着替えさせるから椿さんちょっと居間の方で涼んでて」 「了解〜」椿さんが廊下に行ったのを見送って兄は襖を閉めた。 「明日、今日は暑い所に行くから涼しい格好しようか」 「うん、分かった」兄が箪笥から数着程服を取り出してどの服を着たい?と尋ねた。 僕は迷わず薄い水色のポロシャツと黒に近い紺色のスティックパンツにした。 「よし、じゃあ明日着替えてて。僕も着替えてくるよ」 数分後  着替え終わるとタイミングよく兄が戻ってきた。兄はTシャツにジーンズだった。 「明日、良く似合ってるよ。可愛い」可愛いしか兄は言えないのかと思ったけれど可愛いと言われて満更でも無い自分がいた。 「入っても良い〜?」と彼女が襖をノックしたので兄が襖を開ける。 そこにはゆったりとしたなで肩で絞られて細いウエストに広がったボトムスの白いワンピースの良く似合う栗色の髪の可憐な乙女が居た。 「可愛い?」 「うん、可愛い」 「やったぁ」と喜ぶ彼女にすかさず兄が「俺の明日は椿さんに渡さないよ?」と口元だけ笑みを浮かべて冷たい目で彼女に半ば脅しの如く呟いた。
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