兄との思い出(弟視点)一

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 兄がリュックサックからカメラを取り出した。 今の時代電子端末があれば写真を取れるからわざわざカメラなんて必要無いのにと疑問に思う。 そんな疑問に思ってることが顔に出たのか兄が「カメラは電子端末よりも画質が良いから、僕は使うんだ」と。 確かに電子端末が幾ら発展しても高画質な写真を撮影出来るのはカメラに限るなと納得した。 『カシャ』と四方八方色々な角度で兄は撮影していった。 太陽が昇ってきたからかジンワリと暑くなってくる。彼女を探すと彼女はレジャーシートを広げてその上に大きなパラソルを開いて優雅に涼んでいた。 彼女の荷物は凄く少なく見えたのにあんな大きな荷物を持っていけるのかと感心した。 「明日君もおいで〜涼しいよ〜」言われた通り彼女の隣に来てそっと座る。兄はその間もパシャパシャと撮っていた。 「明日君〜」彼女声は少しだけトーンが下がっていた。どうしたのかと思いつつも彼女に「何?」と尋ねる。 「未来も明日君も良い子だなぁって思った〜」 「良い子なのかな?」 「私が良い子だって言ったら〜良い子なんだよ〜」 「暴論だな、随分と」 彼女はニコニコと笑ったがふと目線が下がった。
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