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「私ね〜最初二人に会った時ちょっとだけ不安だったんだ〜」秘密を打ち明けるように小さな声で彼女が話し始める。
蝉のミーンミーンと鳴く声が遠くから聞こえる。
「二人と私って結構違うでしょ〜?生きてる時間も価値観も経験も境遇も〜」声は至極明るい声だが彼女の表情はあまり良くない。
「うん」
「だけどいざ任されて話かけたら二人共懐いてくれて嬉しかった〜」と言い終わると立ち上がり、パラソルから飛び出して向日葵畑の前後ろ姿で立つ。首だけこちらを向き「だからさ、二人のこともしも雪夜が嫌っても私は嫌わないしなんなら守ってあげるって決意したんだ」彼女のいつもの笑顔がなんだか大人びた顔になった。
涼しい風が吹く。ふわりと彼女のスカートが揺れる。彼女の傍に駆け寄る。
「雪夜はきっと僕と兄さんのこと嫌わないと思う、正確には嫌えないと表した方が適切かもしれないけれど」
「それ、少しだけ思った〜」二人で笑った。蝉の鳴き声を搔き消す程の声で。
「二人共、昼ご飯にしよう」兄が両手にビニール袋を下げてこちらに来た。
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